2005 Fiscal Year Annual Research Report
梁の軸方向力を考慮した鉄筋コンクリート造建物の設計法
Project/Area Number |
16760451
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅村 恒 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (70324473)
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Keywords | 鉄筋コンクリート造建物 / 破壊メカニズム / 降伏ヒンジ / 梁の軸方向力 / 梁の軸方向変形 / 柱梁耐力比 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート造建物を対象として,梁の軸方向変形を考慮した場合としない場合のモデルを作成し,梁の軸方向変形がフレームの破壊挙動に及ぼす影響について調べた。特に降伏ヒンジの発生箇所と発生順序に注目して,梁の軸方向への伸張により,フレーム全体の破壊メカニズムが変化する条件について考察した。 ひび割れ発生に伴う梁の伸張を柱が拘束するために,梁に軸方向力が発生することによって,梁の耐力が上昇し,節点における柱の耐力が相対的に小さくなるために,柱にヒンジが発生するケースが見られた。また,梁が軸方向に伸張するために,圧縮柱側の節点の変位が増大して,柱のせん断力が増大した。これら二つの効果のうち特に前者は,ヒンジの発生順序に及ぼす影響が大きい。 様々な層数,スパンの建物を設計し,地震力を想定した水平力を与えて,降伏ヒンジの発生を観察した。その結果,梁の軸方向変形を考慮した場合,考慮しない場合に比べ,2階柱脚にヒンジが発生しやすくなる場合があることがわかった。 2階以上では,柱の上下に取り付く梁がそれぞれ伸張するが,基礎梁の伸張は小さいため,1階の梁が特に大きな拘束を受ける。1階柱脚に降伏ヒンジが形成して曲げモーメントが頭打ちになり,柱脚の回転変形が大きくなると,1階柱頭部の節点の回転に注目すれば,2階柱脚の曲げモーメントが比較的大きくなることがわかる。 二階柱脚の曲げ強度を適切に割り増すことによって,他の部分の柱梁耐力比が小さい場合でも,梁の軸方向力による柱の降伏ヒンジ発生が抑制されることがわかった。
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