2004 Fiscal Year Annual Research Report
建物開口部用アクティブ騒音制御型ルーバーに関する研究
Project/Area Number |
16760476
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
穴井 謙 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助手 (10325467)
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Keywords | アクティブ騒音制御 / 建物開口部 / アクリル樹脂 / 圧電セラミックスピーカー / LMSアルゴリズム |
Research Abstract |
本研究はアクティブ騒音制御(Active Noise Control ; ANC)技術を応用した窓面における騒音の遮断方法について研究するものであり,日照や眺望といった窓の機能を確保しつつ遮音性能を向上させる建物開口部用ANCシステムを提案することを目的としている。 本年度は,板状の透光性樹脂(透明アクリル板)を圧電セラミックスピーカーにより振動させ,そこから発生される音波と騒音を干渉させる境界音場制御による騒音の低減を試みた。この採光を妨げない2次音源をたとえば窓サッシ等に組み込むことによって,パッシブ技術では実現が難しい軽量で低音域から制御できる理想的な開口部を提供できると考えた。そこで,透明アクリル板と圧電セラミックスピーカーを組み合わせたANC用のアクチュエーター(2次音源)を作成し,実験室内の単純な音場において作成した2次音源の定常騒音(純音)に対する低減効果について実験的検討を行った。なお,制御アルゴリズムとしては適応FIRフィルタを用いた最も基礎的なLMSアルゴリズムを用いた。作成した2次音源が125-500Hzの周波数域で消音効果を有し,制御位置で40dB以上,制御位置からおよそ幅100mmの範囲で10dB以上の消音効果が得られることを把握した。また,アクリル板の固有モードを考慮することで2次音源の音圧レベル分布が平坦になり騒音制御の有効範囲が広がり,500Hzではおよそ幅200mmの範囲で10dB以上の消音効果が得られることを確認した。しかし,さらに低音域(例えば63Hz)に対応する2次音源とするためには,より高出力の圧電セラミックスピーカーが必要であると考える。 これらの検討により,採光を妨げない建物開口部のためのANCシステムの可能性と問題点の整理を行い,同システムに関する基礎的な知見を得た。
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