2006 Fiscal Year Annual Research Report
歩行時の空間把握において周辺視が果たしている役割の解明
Project/Area Number |
16760484
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉岡 陽介 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (00361444)
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Keywords | 周辺視野 / 制限視野 / 歩行 / 空間把握 |
Research Abstract |
本年度(〜平成18年3月31日)の研究実績の概要 ■迷路内探索歩行時における周辺視野の働き 実験用迷路を構築し被験者10名による歩行実験を実施した。今回実施した実験では、中心視野や周辺視野を意図的に制限し、そのときの行動特性の変化や不具合を観察することによって、歩行中の能動的な空間把握における中心視と周辺視の役割の解明を試みる。実験の結果、以下のことが明らかになった。 ○曲がり角や分岐路など複雑な経路空間をスムーズに歩行するためには視角にして約30度程度の周辺視野の大きさが必要である。 ○スムーズに歩行したり目的地までの経路を簡単に探し出したりするためには経路空間下方の壁と床の境界部分を周辺視でとらえる必要がある。 ■階段および曲がり角歩行時における周辺視野の働き 階段および曲がり角を含む歩行経路において、被験者6名(大学院生、20代前半)による歩行実験を実施した。実験用経路の中でも、直線の廊下や曲がり角、あるいは階段を歩行しているとき、それぞれの歩行場面の違いに応じて中心視や周辺視の役割にも変化が生じている。この変化を数量化して分析するため実験用経路を、1)直線経路、2)曲がり角、3)階段下り始め、4)階段下りの4つの経路場面に区分し、それぞれの場面における歩行速度を抽出した。その結果、特に中心視野制限条件における歩行速度に、以下のような定性的な変動が見られた。 ○直線経路や曲がり角などいわゆる平面を歩行するときには、中心視野よりも周辺視野を制限されるほうが、歩行行動に支障を来す傾向にあることがわかった。すなわち、平面歩行時には周辺視の方が、中心視よりも大きい役割を担っていることが示唆された。 ○階段下り歩行および階段下り始めの歩行においては、周辺視野の制限だけでなく中心視野の制限によっても、歩行速度の維持に重大な支障が生じていることがわかった。すなわち、階段を下るとき、あるいは下り始めるときには、中心視と周辺視の双方が同等に重要な機能を担っていることが推察された。
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