2004 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市における高齢者の中心市街地への移住可能性に関する研究
Project/Area Number |
16760487
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
樋口 秀 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (90293258)
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Keywords | 高齢者居住 / 地方都市 / 中心市街地 / 特定優良賃貸住宅 |
Research Abstract |
今年度が初年度であるため、高齢者の居住実態の把握と調査対象地区の抽出を目的として、まず、人口規模の異なる新潟県長岡市(19.3万人,6.7万世帯:2000年国調)、柏崎市(8.8万人,3.0万世帯)、十日町市(4.3万人,1.3万世帯)の3都市を対象に、2000年国勢調査の小地域集計データから地区(町丁目)別に高齢者の居住状況を把握した。用いた指標は「(地区内一般世帯数に対する)高齢者のいる世帯の割合」、「同居率(1-高齢者のみの世帯率)」、「高齢者のみ世帯の持家率」であり、クラスター分析を行った。その結果、長岡市では490地区を5つのグループに分類することが出来た。特徴をみると、同居率が最も低く高齢者のいる世帯割合と持家率も低いグループに分類された地区は180であり中心部に多いこと、高齢者のいる世帯の割合と高齢者のみ世帯の持家率が最も高く同居率も高いグループは93地区であり農村集落部に多いことが明らかとなった。地区別の分布状況は柏崎市、十日町市でも同様の傾向が見られた。しかし長岡市の状況と比較した結果、柏崎市で同居率が低くなっているのを除き、その他の指標は全て上回るなどの特徴が見られた。 次に、高齢者の移住を受け止める住宅の整備状況やその利用状況を把握するために、中心市街地に立地する長岡市内の高齢者向け優良賃貸住宅1棟(8F50戸、2004年築)、新潟市の終身利用権方式住宅型有料老人ホーム1棟(8F46戸、2002年築)の管理者に対してヒアリング調査を行った。その結果、長岡では従前居住地が市内3割、市外県内3割、県外4割であるのに対して、新潟では市内が9割を占めていた。住宅の形式が純粋な賃貸と終身利用権と異なることが影響していると考えられるが、従前居住地に大きな違いが見られた。 初年度の最後に、高齢者の居住状況と高齢者用住宅への入居希望(需要)とを調査するために、アンケート票の設計を行った。次年度はアンケート調査を実施し、中心部、郊外部、農村部といった居住地による居住状況や日常行動の差異を把握して、移住可能性の検討を行う予定である。
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