2004 Fiscal Year Annual Research Report
離島・過疎地域での居住継続を可能とする小規模高齢者施設と地域ケアに関する研究
Project/Area Number |
16760495
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 健二 鹿児島大学, 工学部, 助手 (30363609)
|
Keywords | 離島 / 高齢者 / 地域ケア / 地域通貨 / 廃校改修 / 生活支援 / NPO |
Research Abstract |
本研究の概要は大きく以下の2点にまとめる事ができる。 まず、地域通貨の活用により地域ケアの構築を図ろうとしている事例について調査研究を行った。対象は長崎県崎戸町の地域通貨「さんさん」である。調査の結果から、地域通貨の参加者は、してあげる事が多い「提供型」と、してもらう事が多い「依存型」という2つのタイプに分ける事が出来た。この両者の視点に立って分析を行う事で、「高齢者に対する生活支援」の有効性と共に、「地域住民による地域貢献」という効果が見出されたが、その一方で、「提供型」の一部の参加者に仕事が集中してしまう事で、地域通貨の流通が滞ってしまっているという問題点も明らかとなった。地域全体による助け合いという理念を実現するためにも、サービスの担い手をより多くの参加者に拡げていく取り組みが必要だと思われる。 次に、地域住民が主体となって廃校校舎から小規模高齢者施設への転用を行った事例について調査研究を行った。対象は鹿児島県屋久町のNPO「サポート&ケア屋久島」である。まず、離島や屋久町の地理的状況・施設配置について考察した所、屋久島は離島としては面積が大きいにも関わらず人口密度が低いため高齢者施設が偏在しており、在宅高齢者は非常に不利な条件下に置かれている事が明らかになった。また、廃校から高齢者施設への転用プロセスについての考察を行う事で、転用の円滑な進行を妨げている要因の一端を明らかにする事が出来た。廃校改修については文科省により全国の活用事例も報告されているが、その殆どは公的資金を財源に整備・運営が行われているものであり、その用途も教育委員会が所管となる施設に大きく偏っているのが現状である。その意味では、公的資金に財源を頼ることなく、地域住民が主体となって地域に必要な施設を実現させた本研究の事例は、社会的にも非常に意義深いものだと考えられる。
|
Research Products
(2 results)