2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市地域の非計画的空間利用実態からみる成熟期の都市計画に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16760498
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐久間 康富 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (30367023)
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Keywords | 都市・地域計画 / 非計画的空間利用 |
Research Abstract |
新興市街地の一事例として多摩ニュータウン、既成市街地の一事例として墨田区をとりあげ、都市における非居住機能の実態を明らかにした。 まず、多摩ニュータウンでは、各住戸が人々の多様な営みの一形態である非居住機能(住戸内で行われる事務所、各種趣味教室など)の受け皿となっているとの観点から、非居住機能の実態を明らかにした。方法は、住宅地図による非居住機能のある住戸の抽出、アンケート調査、使われ方調査などによる。以下のことが明らかになった。 1)非居住機能の実態 業種は多岐にわたるが、情報・通信業、建設業が多い。60代までは重要な収入源となっている事例が多い。 2)併用住戸の実態 部屋に余裕があれば専用室を設け、部屋に余裕がないか、来訪者が増加すると複数室を利用して対応している。住戸は住み手のニーズに対して、柔軟な使われ方をしている。 3)周辺環境との関係性 SOHOなど就業形態が多様化する今日において、「居住の用途以外の使用の禁止」という管理規約・賃貸借契約書は形骸化しており、実際には各運営者の判断によって非居住機能が営まれている。 次に墨田区では、東京ニットファッション工業組合の名簿に記載されている257の繊維工場を対象に踏査を行い、以下のことが明らかになった。 墨田区における繊維工場の建築空間は、「単棟/非居住機能専用」「複棟/非居住機能専用」「単棟/非居住機能・居住機能混合」「複棟/非居住機能・居住機能混合」「複棟/非居住機能・居住機能棟別棲分」と5つに大別でき、さらに「他の所有の居住機能/非居住機能」の有無といった、所有・管理形態などからそれぞれ4類型に分けられることが分かった。 今後は、上記の類型に応じてアンケート、踏査によって詳細な実態を明らかにしていく。
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