2006 Fiscal Year Annual Research Report
既存建築物の災害弱者火災避難のための改修技術の検討
Project/Area Number |
16760499
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教授 (70305556)
|
Keywords | 火災 / 避難 / 災害弱者 / 車いす / 改修 / 建築 |
Research Abstract |
火災時避難が困難である災害弱者の安全確保を目的とした。法改正で既存不適格となる既存建築物では避難にも問題を生じるため対策が必要である。 初年度は「避難能力からみた災害弱者の分類」として文献調査を行い、火災覚知、避難移動、情報伝達能力が重要とした。災害弱者として、障害者、高齢者、子ども、外国人をあげ、避難能力、状況による分類を行った。 次年度は「災害弱者を想定した被験者避難実験」として、車いす利用者の避難に着目した。 「防火戸通過実験(単独車いす/群集)」を行った。防火戸の開放力を実験条件とした車いすによる通過実験及び車いす座位姿勢で扉を押す発揮力を計測し、防火戸の開放力は40N以下が適当であるとした。また100人の群集による防火戸通過実験から、群集流動係数の実測値として2.2人/m・sを得た。 「高層建築物における車いす介助避難実験」では、車いす利用者は緊急時に出火階の数階下に移動することで安全性は高まると考え、車いすごとの持上げ、人のみを担いでの介助避難について実験した。車いすごとの場合、幅員1200mm以上の階段室では4名、900mmの幅員では2名で介助する方法が有効である。 最終年度は「既存建築物改修のための改修技術の検討」として研究結果から、災害弱者は火災覚知時間が長い、移動速度が低い、避難に介助を必要とすることを示した。またケーススタディを通して、安全性向上のための改修方法として階段、通路幅員の増加は非常に困難、スプリンクラーの導入は困難、非常用エレベータの導入は困難、火災報知設備等の導入は可能性あり、防火区画の変更は可能性ありを明らかにした。 災害弱者のための防火改修では、早期発見のための火災報知設備の導入、十分な避難時間を確保するための防火区画の拡充が適している。特に階段室、付室は、一時的に待機して救助を待つ施設としても利用出来ることから重点的な改修が必要である。
|
Research Products
(2 results)