2004 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者の歩行空間構成に関する研究-空間定位と探索歩行行動-
Project/Area Number |
16760504
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
亀谷 義浩 関西大学, 専任講師 (30319610)
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Keywords | 視覚障害者 / 歩行空間 / 空間定位 / 探索歩行 / 空間把握 |
Research Abstract |
視覚障害者の基礎的な空間把握特性や探索歩行行動を明らかにするために、屋内において模擬実験空間を作製し、全盲の視覚障害者を主な対象者として実験を行った。 実験期間は、平成16年10月31日から11月3日の4日間である。実験空間は、25m×13mの大学集会室内にダンボールパネルを用いて作製した。実験空間は、街路や建物に見られる空間を類型化した正方形型4種類、長方形型4種類、三角形型4種類の計12種類である。ただし、空間の中央部には、直方体、三角柱形または円柱の物体が置かれている。 被験者は、全盲者7人、アイマスクを装着した健常者(比較対照群)10人の計17人である。 実験は、被験者が作製された空間がどのようなものであるかを探索し(空間探索歩行調査)、探索を開始した場所に戻ってくる(定位移動歩行調査)というものであり、さらに把握した空間のスケッチマップを作製してもらいヒアリングによる調査を行った。 分析項目は、空間探索歩行、定位移動歩行それぞれにおける歩行距離、歩行時間、歩行速度さらに定位に関する方向指示角や起点相違距離、また、空間把握における正解率などである。 結果、歩行距離は、探索歩行では、全盲者はアイマスク者よりも長く、移動歩行では短い。また、全盲者は、探索歩行での速度は、移動歩行よりも速くなっており、探索より定位移動するときのほうが、慎重になっているか、もしくは、定位しにくいと考えられる。 実験での被験者の歩行の方法は2つに分類でき、壁伝いに歩く「壁伝い歩行」と壁から離れて空間内を横切るもしくはさまようような「空間歩行」である。アイマスク者の空間歩行は歩行の約13%を占め、全盲者では、約21%を占める。このことより、全盲者は、壁伝いに歩行しなくても探索歩行や定位移動歩行できることがわかる。また、起点相違距離や方向指示角の結果より、全盲者は、長方形型空間で、空間をよく把握できることがわかった。
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