2004 Fiscal Year Annual Research Report
病院における外来診療機能の再編成に関する建築計画的研究
Project/Area Number |
16760510
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小林 健一 国立保健医療科学院, 施設科学部, 主任研究官 (80360692)
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Keywords | 病院 / 外来診療部門 / がん化学療法 / 建築計画 |
Research Abstract |
医療サービスの提供ニーズが多様化・高度化している昨今、病院は自らもてる機能の見直しが求められている。とくに外来診療については、麻酔技術や治療薬の進化により、短期滞在手術適応症例の拡大や、通院による内視鏡手術、がん患者の外来化学療法など、これまでにない高度医療の提供がみられるようになってきた。しかし現状では、従前からの建築・設備環境の中で、これら高度医療の提供を実施している病院も多く、軽微な処置行為と高度な医療行為とが混在して実施されている状況も少なくない。このような実態は、効率的で安全な医療の提供や、患者のQOLという観点から、改善の必要性が高いといえる。しかし高度な外来診療の提供に対応した建築・設備的な必要諸条件は、建築設計者の間でも、また医療従事者・病院管理者の間でも明らかになっていない。 このような背景をふまえて平成16年度は、がん外来化学療法を実施する医療機関を対象とした研究を実施した。その結果として以下のような事項が明らかになった。 (1)がん外来化学療法は実施時間が長いことから、読書やテレビなど患者サービスの充実が求められる。娯楽的な要素ばかりでなく、治療内容等に関する書籍をおくなどして、治療に関する情報提供を積極的に行うことが望ましく、これに対応した建築計画が求められる。 (2)患者へのヒアリング調査において、騒音や明るすぎる照明などは望ましくないという意見があった。抗がん剤の投与は副作用を伴うことから、病室に準ずる音環境・光環境が求められる。 (3)治療中の容体急変に対応するため、医療配管やストレッチャーベッドなどの設備・備品が必須であり、また緊急時の搬出動線確保が平面計画上、重要であることが分かった。 これらを総合すると、がん外来化学療法を提供する施設の建築設備においては、これまでの外来診療部門とは異なる患者像を想定した建築計画上の配慮が求められることが分かった。
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