2004 Fiscal Year Annual Research Report
劇場としての利用にみる寺社や史跡等の歴史的空間の特性
Project/Area Number |
16760511
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
中島 義晴 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 文化遺産研究部, 研究員 (50321625)
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Keywords | 劇場 / 社寺 / 史跡 / 歴史的空間 / 活用 / 空間構成 / 文化財 / 利用者意識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、社寺や史跡等における催事の現況の把握、劇場として使う場合の社寺や史跡等の空間的な特性の明確化、歴史的空間の価値を見直すことによる現代的活用方法の再考を通じて、今後もますます増加していくと思われる史跡等での催事計画に役立つ知見を得ることである。今年度は、歴史的空間で実施される催事について、日本全国での事例の情報収集を現地調査、関連情報誌・文献、新聞、インターネットなどの検索により実施した。対象は、寺社、史跡、建造物、名勝とした。調査項目は、主催者、目的、種類、演目、舞台形式、観客数、控室、運営スペース、全体的な空間構成、設備、人的体制、運営費などである。 その結果、社寺史跡別、空間構成別、公演者や主催者別にそれぞれ傾向が認められ、グループごとに分析することが有効であることが分かった。そしてそれぞれのグループから代表的な事例を選びさらに詳細に調査しそれぞれを比較しながら、劇場としての空間の特性を考察し、それぞれに適した催事内容や運営のための具体的な方法を検討することが必要であることが分かった。その際、鑑賞者の意識にも着目し、また、文化財保護の面からどのようなことが問題となるかについて検討することも重要である。調査に適していると考えられるのは、史跡で実施する野外劇の事例として函館市五稜郭、寺社で実施する大規模なコンサートの事例として京都と奈良の寺院、文化財指定された伝統的芝居小屋の現代的な活用の事例として山鹿市八千代座などがある。 他方で、寺社における古来からの劇場としての空間利用の歴史と意味、また史跡の活用として催事が実施されるようになった経緯について基礎的な情報を収集した。
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