2004 Fiscal Year Annual Research Report
古代地中海世界のヘレニズム期の家型墓の地域性と時代性に関する研究
Project/Area Number |
16760512
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 明純 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (00344549)
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Keywords | 家型墓 / 墓 / 古代ギリシア建築 / イタリア:ギリシア / ヘレニズム / 地中海世界 / 西洋建築史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代地中海世界のヘレニズム期の墓の体系化に向けて、建築形態、建築技術、造型理念の観点から、家型墓の地域性や時代性を明らかにすることにある。これに向けて、平成16年度は、研究対象をイタリア、ギリシア本土の家型墓とし、「建築形態の比較」、「建築技術の比較」、「設計法の検討」を行った。 建築形態の比較研究では、ヘレニズムの家型墓調査報告書等の資料の分析、及び現地での視察を通して、家型墓の形態的特徴を整理し、各時代、各地域について比較検討を行った。これにより、イタリア、ギリシア本土の家型墓は、小アジアに多くの類例を持つものと、地中海南東部に類例をもつものの、大きく2種類のものに分けられることがわかった。 建築技術の比較研究では、ヘレニズム期の家型墓調査報告書、及び現地での視察を通して、建築遺構に残る痕跡や材料などから、家型墓の施工技術を推定した。この結果を各時代、各地域について比較検討することにより、少なくとも現在発見されているイタリアの家型墓には、ローマの建築技術の影響が強く、地中海の広い範囲から影響を受けたと思われるものと、ギリシアの建築技術の影響の強く、小アジアの影響を強く受けているもの、という2種類の家型墓があるとみることができることがわかった。なお、この結果は、先の建築形態の比較研究から得られた結論とも一致するものである。 設計法の検討では、神殿等の他種の地中海建築の設計法を参考に、ヘレニズム期の家型墓調査報告書を用いて、ヘレニズム期の家型墓の設計法解明の可否と、可能である場合の方向性について検討した。その結果、設計法の検討が可能で、有用な結果が得られる可能性の高い家型墓は、イタリアに2つ、ギリシアに3つあることがわかった。これらの家型墓の設計法については、現在検討中である。
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Research Products
(1 results)