2005 Fiscal Year Annual Research Report
古代地中海世界のヘレニズム期の家型墓の地域性と時代性に関する研究
Project/Area Number |
16760512
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 明純 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (00344549)
|
Keywords | 家型墓 / 墓 / 古代ギリシア建築 / 小アジア / ヘレニズム / 地中海世界 / 西洋建築史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代地中海世界のヘレニズム期の墓の体系化に向けて、建築形態、建築技術、造型理念の観点から、家型墓の地域性や時代性を明らかにすることにある。これに向けて、平成17年度は、研究対象を小アジアと地中海の島々の家型墓とし、建築形態、建築技術、設計法の観点から検討を行った。 建築形態の比較研究では、ヘレニズムの家型墓調査報告書等の資料の分析、及び現地での視察を通して、家型墓の形態的特徴を整理し、各時代、各地域について比較検討を行った。これにより、例えば、小アジアの家型墓には、ポディウムを持ち、その上に柱、あるいは付柱を伴った壁面層が載り、その上にエンタブラチャーと屋根が載るといった立面構成を持つものが多く、こうした立面構成ではない家型墓は、姿のわかっているものだけでいえば、アリンダの墓廟と祭司王の墓だけであることなどが把握された。 建築技術の研究では、ヘレニズム期の家型墓調査報告書、及び現地での視察を通して、建築遺構に残る痕跡や材料などから、家型墓の施工技術を推定した。これにより、クサントスのネレイドモニュメントは、神殿をポディウムで持ち上げる形態の墓であるが、この神殿の屋根架構が他のギリシア神殿の屋根架構とは一風変わったものであることなどが確認された。 設計法の検討では、神殿等の他種の地中海建築の設計法を参考に、ヘレニズム期の家型墓調査報告書を用いて、ヘレニズム期の家型墓の設計法解明の可否と、可能である場合の方向性について検討した。その結果、設計法の検討により有用な結果が得られる可能性の高い家型墓は、小アジアや地中海の島々に8つあることがわかった。これらの家型墓の設計法については、現在検討中である。
|
Research Products
(2 results)