2005 Fiscal Year Annual Research Report
英国の「風景概念」生成期における建築デザインの変容と非西欧圏文化の受容
Project/Area Number |
16760519
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木下 央 首都大学東京, 都市環境学部・建築都市コース, 助手 (70332939)
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Keywords | ヴァンブラ / 東インド会社 / スラト / 霊廟 / 構成手法 / 風景 |
Research Abstract |
17世紀末に英国東インド会社の社員としてインドへ赴いた建築家サー・ジョン・ヴァンブラの建築作品における平面構成手法の分析を、英国に保存された図面を用いて行った。その結果、ヴァンブラの平面構成における幾つかの特徴が明らかとなった。1)平面における正方形の多用、2)立面での正方形プロポーションの使用、すなわち立方体という極めて純粋な幾何学への志向、3)平面構成が発展していく過程で廊下が重要な役割を果たしている。壁によるボリュームの分割と廊下による分節が設計過程で交互に見られ、機能的解決と幾何学的構成を両立させるための、言い換えるならばモニュメントとしての建築を設計するための有効な手段として廊下を発見的に使用していたことが分かった。 ヴァンブラはインドの建築に関する記述は一切残していないが、唯一スラトで見た英国人の霊園墓地のスケッチをRoyal Commission for Building Fifty New Churchesの委員会に提出したことがある。しかしスラトに現存する英国人墓地に関しては実際にどのような物であったのか、あまり多くのことが知られていない。そこで本研究ではインドのスラトに現存する、英国人墓地およびオランダ人墓地の現地調査を行い、ヴァンブラの設計手法に対する影響関係を探った。その結果、ヴァンブラの設計手法との興味深い類似点が明らかとなった。1)純粋幾何学の使用、2)立方体と半円ドームの組み合わせ、3)隅部に配置される櫓状のボリューム、4)霊園内のランダムな霊廟の配置などである。 以上から、英国における「風景概念」の生成期に先導的な役割を果たしたヴァンブラの建築作品に、インドにおける霊廟の影響と考えられる特徴が複数見られることが分かった。
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