2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンシアン・レジーム期の王権の文化・社会とその文化資源としての建築
Project/Area Number |
16760521
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
中島 智章 工学院大学, 工学部, 講師 (80348862)
|
Keywords | ヴェルサイユ / 王権 / ルイ14世 / フランス / 庭園 / バロック / オペラ / 音楽 |
Research Abstract |
1)「ヴェルサイユ宮殿と1674年の祝典の劇場作品-ヴェルサイユ宮殿および付属庭園における絵画や彫刻を媒体とした寓意表現について その3」 2)「ヴェルサイユ宮殿の図像プログラムとラシーヌの悲劇『イフィジェニー』序文にみる新旧論争」 ヴェルサイユ宮殿は、天井画や庭園彫刻の図像プログラムという形で、人文主義的古代神話体系が17世紀の末に最後の輝きを放ったものである。このような側面から初めてヴェルサイユを捉えたのは美術史家マール氏の研究である。1963年にはギュー氏の謎解き本が刊行されたが、当分野の研究が盛んだったのは1980年代だった。1990年代には研究成果の一般書における普及が顕著である。 その中で、ヴェルサイユ宮殿の絵画・彫刻主題の解釈に、従来から用いられてきた当時の公式記録や証言などに加えて、同時代の劇場作品の詩句を援用するようになったことが近年の成果として挙げられる。しかし、当時のスペクタクルの様々なタイプのうち、どのジャンルの作品を取り上げるべきなのか、以上の方法を用いるに際し、原点となるこの問題から論じられたことはない。 筆者は、1674年に当宮殿で催された祝典での様々な上演作品の分析が、この宮殿の図像主題と同じ世界を共有する演劇ジャンルを見出す手がかりになると考える。1)の学術講演ではそこで上演された作品がどのような性質のものだったのかを明らかにした。2)の論文では、ラシーヌの悲劇「イフィジェニー」序文の分析という方法で、まずは、古典主義演劇が、ヴェルサイユの図像主題の世界とはあまり関わりを持っていないことを明らかにするとともに、空間論や様式論などの建築学の伝統的方法ではみえてこなかった面に光をあてた。
|
Research Products
(2 results)