2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本植民地期における台湾都市空間の再編過程に関する調査研究:彰化地方を事例として
Project/Area Number |
16760525
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
青井 哲人 人間環境大学, 人間環境学部, 助教授 (20278857)
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Keywords | 日本植民地 / 台湾 / 都市史 / 都市計画史 / 市区改正 / 地籍図 / 寺廟 |
Research Abstract |
平成16年度は台湾調査を2度行った((1)=2004年8月1日〜30日、(2)=2004年12月21日〜2005年1月8日)。まず、彰化県内の1市・12鎮より、植民地期の都市計画策定の有無や策定時期などから詳細調査の対象都市を彰化市・鹿港鎮・員林鎮・北斗鎮・田中鎮の5つに絞った。資料調査では、内政部土地測量局にて、これら対象都市の現行地籍図をデータ複製のかたちで入手したが、これはCAD等を利用した都市分析のベースとして有用である。また、国史館台湾文献館にて、総督府文書のうち、筆者がこれまで未調査であった大判の図版資料にあたり、対象都市の都市計画関連資料などをいくらか得ることができた。対象都市の『寺廟台帳』(植民地期)は漏らさず入手した。臨地調査は、彰化・員林・北斗および田中の一部につき、現行地籍図をベースとした街路網・寺廟の悉皆的把握を終了した。 縣城として発達した中核的な行政都市である彰化市の場合、円形の城壁内に、屈曲した迷路状の街路網が形成され、植民地期の都市改造はこれを互いに無関係なグリッド状の計画街路網で寸断し、したがって少なからぬ寺廟が撤去・切除その他の物理的影響を受けたのに対して、県下のより小規模の市街の場合、城壁を持たず、街道に沿ったリニアな都市形成に特徴づけられ、植民地期の都市改造も既存の街路体系をかなり尊重したものになりえているため、寺廟への影響も比較的小さい。こうした全体的な見通しを得たのが今年度の成果である。また、個別の寺廟とその周辺を事例的にとりあげ、都市改造を契機とする土地再編の進行を分析し、都市全体の再組織化を支える微視的な変化のメカニズムの解明が重要であることを再認識した。
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