2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本植民地期における台湾都市空間の再編過程に関する調査研究:彰化地方を事例として
Project/Area Number |
16760525
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
青井 哲人 人間環境大学, 人間環境学部人間環境学科, 助教授 (20278857)
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Keywords | 台湾都市史 / 彰化 / 日本植民地 / 市区改正 / 都市計画史 / 寺廟 / 地籍図 |
Research Abstract |
平成17年度は台湾調査を2度行った((1)=2005年8月2日〜9月24日、(2)=2005年12月24日〜2006年1月8日)。詳細調査の対象都市は、16年度において、彰化県内の1市・12鎮より彰化市・鹿港鎮・員林鎮・北斗鎮・田中鎮の5つに絞った。17年度はこれら5市街について、よりインテンシブな調査を行った。 臨地調査については、16年度はとくに彰化市に重点を置いたが、17年度に調査を進めた市鎮はこれとはかなり性質を異にしており、それゆえ多くの知見が得られた。鹿港は海港都市、北斗は内陸の河港都市、そして員林・田中は内陸の街道に発達した都市で、それぞれ固有の特性を持ちながらも、総じてリニアな街路網を形成してきたため、市区改正による都市改造も、主軸となる既存の街道を拡幅しつつ、これに直交する街路を新設するなどの手法をとっており、在来都市の空間的秩序が受けたインパクトは彰化の例に比べてはるかに小さい。しかしながら、とくに鹿港では寺廟数が多いうえにその変転が激しく、統廃合などの再編パタンが多様であること、また都市計画の進行が確実にその契機となっていることを明らかにしつつある。また他方では、彰化では読み取りにくかった既存街路の拡幅にかかわる都市計画上、ならびに地権者の土地再編上の特徴を把握することができ、大きな成果であった。彰化の事例とあわせれば、在来都市の特徴を踏まえつつ近代的な都市再編のメカニズムを立体的に明らかにすることができるはずであり、これら調査結果の整理と分析が18年度の具体的な課題となるだろう。 資料調査については、16年度中に主なものを入手したため、17年度は大きな進展はなかったが、鹿港などでは地方史研究者との学術的な交流を深めることができ、有用な資料の発見もあった。
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