2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しい構造タイプに属する巨大単準結晶の作製とその物性
Project/Area Number |
16760528
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柏本 史郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60329852)
|
Keywords | 準結晶 / Zn-Fe-Sc / 近似結晶 / ブリッジマン法 / 擬ギップ / Pauli常磁性 / Curie-Weiss常磁性 / スピングラス |
Research Abstract |
試料作製 本年度はZn-Sc系bcc近似結晶をベースとし,各条件(仕込組成,焼鈍温度,冷却速度等)を変えながら良質な準結晶試料の作製を試みた。その結果、Zn-Fe-Sc,Zn-Co-Sc,Zn-Ag-Sc,Zn-Pd-Sc合金系において極めて単相性の高い正二十面体相試料を安定相として得ることに成功した。その際Znの蒸気圧が比較的高く沸点がScの融点と比較的近いことから,Znの蒸発をさけるため従来はMo箔で原材料をパッキング溶解していたものを,電気炉を傾けることで温度勾配を付ける擬似的なブリッジマン法に改良し,多量の材料溶解が可能なアルミナ坩堝を用いて5-6mm程度の単準結晶を得た。また局所的な構造が準結晶とほぼ同じである近似結晶について,Fe濃度を変えながら近似結晶の形成条件を探った。その結果,Zn-Fe-Sc系合金ではScが14.5at%の場合,最大で3.5at%のFeを固溶できることを確認した。 物性測定 物性測定においてはすでに得られている準結晶と近似結晶の単相試料を用い,主に磁性測定を行った。磁性については,Zn-Ag-Scは反磁性が支配的であるが,80K以上の高温領域ではPauli常磁性のT^2依存性が見られ,フェルミレベル付近での擬ギャップの存在が確認された。3d遷移金属を含む準結晶では,Curie-Weiss常磁性を持ち準結晶中で磁気モーメントを持つことを明らかにした。特にZn_<77>Fe_7Sc_<16>準結晶ではFe元素が3.7μ_B相当の大きな磁気モーメントを示し,凍結温度7.0Kでスピングラス特性を持つことも見いだした。これは正二十面体相準結晶では初めてのことである。一方Zn_<78>Co_6Sc_<16>, Zn_<74>Ni_9Sc_<16>では同型構造にも関わらず,Zn_<77>Fe_7Sc_<16>の約百分の一の磁化しか持たないことが分かり,Zn_<77>Fe_7Sc_<16>準結晶の磁気的特異性が明らかになった。
|
Research Products
(3 results)