2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい構造タイプに属する巨大単準結晶の作製とその物性
Project/Area Number |
16760528
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柏本 史郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60329852)
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Keywords | 準結晶 / Zn-Sc基合金 / 近似結晶 / 結晶成長 / スピングラス / Curie-Weiss常磁性 / 相転移 |
Research Abstract |
試料作製・評価: 前年度に引き続き,単相性および構造完全性の高い準結晶相の探索をZn-Sc基合金を中心に行った。その結果Zn_<79>Ni_5Sc_<16>の組成で単相かつ良質の試料を新たに得た。これは各元素の価数と原子半径をもとにHume-Rothery則に従ったものであり,よく知られているAl基準結晶と同様にZn-Sc基準結晶もHume-Rothery型電子化合物であることを実証した。また試料中全てのFe原子が局在スピンを持つことを昨年度明らかにしたZn_<77>Fe_7Sc_<16>準結晶を基に,より高濃度に局在スピンを持たせるためScを4f磁性元素であるランタノイドと置き換えたZn_<77>Fe_7Sc_<(16-x)>L_x、準結晶の作製も行った。現在のところL=Ho,Er,TmにおいてL〜8at%までの準結晶の形成に成功している。 物性測定: 上述の試料と本研究で構築した低温物性装置を用いて,Zn-M-Sc(M=Fe,Ni等)準結晶およびZn-Sc近似結晶の測定を行い,とりわけZn-Sc近似結晶では温度150K付近での構造相転移に伴う電気抵抗異常の明瞭な観測を行った。また磁化測定においては,Zn_<77>Fe_7Sc_<(16-x)>L_x準結晶がFeとLに由来するCurie-Weiss常磁性を示し,10K付近で凍結温度を持つsupinglass的な振舞いを示すことを明らかにした。特に零磁冷却でも温度依存性が正,また磁場中冷却でも凍結温度以下で明らかに負の温度依存性を示し,これまでのZn_<77>Fe_7Sc_<16>準結晶とは異なる特異の磁化過程を明らかにした。今後準周期構造に基づいた長距離磁気秩序の研究にこれらの試料を用いることで,準結晶に固有な電子物性研究の発展が期待される。
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Research Products
(1 results)