2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素系化合物におけるキャリア制御-熱電材料としての特性向上-
Project/Area Number |
16760530
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
武田 雅敏 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (30293252)
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Keywords | 熱電変換材料 / 金属六ホウ化物 / 分子軌道計算 / 電気伝導率 / ゼーベック係数 / キャリア濃度 / Rietveld解析 |
Research Abstract |
本年度は,アルカリ土類金属とホウ素からなる金属六ホウ化物のうちCaB6について,電子キャリアの起源を理論計算と実験の両面から調べた. 1.電子状態計算によりキャリアの起源の研究 CaB6における電子キャリアの起源としては,不純物と欠陥が考えられる.我々の実験では,同じ原料を用いてもキャリア濃度に違いがあることが分かっているため,欠陥の影響を電子状態計算により調べた.結晶モデルからある程度の大きさのクラスターを抜き出し,分子軌道法により電子状態を計算した.欠陥を導入しないモデルでは,価電子帯に相当する準位を全て電子が占有し,明瞭なギャップが存在する結果となり,完全結晶の状態ではCaB6は半導体となることが示された.カルシウムを欠損させたモデルでは,価電子帯に空準位が形成され,p型となる.一方ホウ素を欠損させたモデルでは,ギャップ内に電子が占有した局在準位が形成され,この準位がドナーとして働けば電子キャリアの起源となりうることが明らかになった. 2.結晶中の欠陥とキャリア濃度,熱電特性の関係 欠陥の影響を実験的に明らかにするために,同じ原料粉末から異なるプロセスで焼結体を作製し,特性を比較した.一方はアルゴン雰囲気中で焼結,もう一方は真空中で焼結した材料である.電気伝導率を比較した結果,アルゴン雰囲気中で焼結した材料の方が約2倍高い値を示した.これは,キャリア濃度が約2倍高いことを意味している.ゼーベック係数もキャリア濃度の増加を反映してアルゴン雰囲気中で焼結した材料では絶対値が小さくなっていた.この結果は,不純物の影響以外に欠陥も電子キャリア濃度に影響を与える可能性があることを示唆している.現在,欠損の定量評価のためにRietveld法による構造解析を行っている.
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Research Products
(1 results)