2004 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界アルカリ金属流体のミクロ構造解明に向けた単結晶モリブデンセルの開発
Project/Area Number |
16760532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 和博 京都大学, 工学研究科, 助手 (50362447)
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Keywords | アルカリ金属 / 超臨界 / 放射光 / ミクロ構造 / 金属-非金属転移 / ルビジウム / 回折 / モリブデンセル |
Research Abstract |
本研究の目的は、超臨界領域におけるアルカリ金属流体の金属-非金属転移に伴うミクロ構造を、放射光を用いて究明するため、反応性の極めて高いアルカリ金属流体を高温高圧下で安定に保持する試料容器の開発を行うことである。1700℃を超える極端条件下におけるX線回折用の試料容器はこれまでなく、この技術的課題を克服するため、アルカリ金属との反応性の低いモリブデンを用いた試料セルの開発に着手した。試料セルは透過型の構造を有し、X線の透過部に、電解研磨により20μmまで薄膜化した単結晶モリブデンを用いた。さらに結晶方位を高い精度で制御し、ノイズとなるモリブデンからの干渉性散乱を回避する構造とした。流体試料は二つの単結晶モリブデン箔の間に配置される。単結晶モリブデン箔のX線窓の実現により、セルからのバックグランドを大幅に低下させることが可能となり、流体密度が極端に低下する超臨界領域においても、高精度な構造解析実験を行うことが可能となった。実際に、流体ルビジウムを対象として1850℃210barまでの超臨界領域を含むX線回折測定、およびX線小角散乱測定を世界で初めて実現することができた。その結果によると、二体分布関数より求めた最近接原子間距離が、金属-非金属転移領域に相当する臨界点近傍(〜0.3gcm^<-3>)から遠く離れた金属領域(〜1.0g cm^<-3>)において短くなり始めるという結果が得られた。同時に小角散乱強度の増大が同様の密度領域で観測され、ゆらぎの出現を示唆している。金属液体領域で既に原子間距離の短い流体構造(例えば二原子分子など)がゆらぎを伴い出現するという実験事実は、アルカリ金属の膨張様式に対する従来の認識を大きく変えるものである。
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Research Products
(4 results)