2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760535
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 隆治 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (50307708)
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Keywords | 準結晶 / 近似結晶 / 構造相転移 |
Research Abstract |
正20面体準結晶に代表される正20面体クラスター化合物は、直径1nm程度の正20面体クラスターが格子を組み、その隙間をglueと呼ばれる金属原子が埋めた構造を有する。これまで、多くの近似結晶が低温で相転移を起こすことを見出し、これがクラスター中心にある4面体の秩序・無秩序転移によるものであるとの考えられている。 本年度は、Cd_6Yb及びCd_6Ca立方晶の低温相転移の機構を明らかにすることを目的として、単結晶低温X線回折及び低温電子線回折実験を行った。単結晶の作製は、アルミナるつぼに原料金属を入れて封入し、電気炉を用いてフラックス法により行った。低温X線回折測定は、1800及び1833ピークについて、10Kから300Kまでの範囲でピークプロファイルの温度変化を詳細に調べた。その結果、Cd_6Yb、Cd_6Ca立方晶において、それぞれ110K、100Kでピークの分裂が明瞭に観測され、解析の結果、単斜晶であることが分かった。また、低温電子線回折により得られた消滅則とあわせてC底心単斜格子であるとの結論を得た。以上の結果をもとに、ランダウの相転移理論を用いて可能な空間群としてC2/cとC2/mの2つが得られ、それに基づいて低温相の構造モデルを作成した。いずれのモデルにおいても、正20面体クラスター芯の4面体は室温のbcc相の[110]方向に沿って2種類の方位が反強磁性的に規則化しており、正20面体クラスターに由来した新しい相転移であると考えられる。
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