2004 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン表面化学種のテラヘルツ振動測定に関する研究
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16760540
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田邉 匡生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10333840)
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Keywords | テラヘルツ / シリコン / 表面 / 分子振動 / 内部反射(ATR)法 / 水溶液 |
Research Abstract |
半導体の表面分析については多くの研究が行われており、表面振動状態についても赤外分光法による解析がなされている。しかしながら、赤外線のなかでも、ミリ波との境界に位置するテラヘルツ領域はその光源に適当なものがなかったために研究が制限され、測定手段について有効なものがなかった。本研究は広帯域において高出力のテラヘルツ波光源を用いて、シリコンのテラヘルツ表面振動特性について内部反射(ATR)法を用いて明らかにすることを目的としている。 本年度は、GaP及びGaSeの半導体結晶における近赤外線の差周波混合により発生するテラヘルツ波のp偏光成分を高抵抗シリコン結晶に入射し、ATR法によるシリコン表面の振動スペクトル測定を行うことが可能な光学システムを構築した。シリコン表面に対するテラヘルツ波の入射角を変化させることにより、全反射条件が成立する。システムの有用性を確認するために、シリコン表面近傍の水についてテラヘルツスペクトル測定を行なった。水分子がクラスターを構成する水素結合による振動(1.6THz)の観測を確認した。さらに、水にエタノールやグルコースを添加することにより水分子のクラスター構造が変化する様子を観測した。テラヘルツ領域におけるATR法について詳細を検討し、シリコン表面における化学種のテラヘルツ振動についての解析技術を確立した。 ATR法による光学システムでは、シリコン結晶の内部から反射するテラヘルツ波を検出する。テラヘルツ波は自由キャリアによる吸収を受けるため、表面状態の高感度検出にはテラヘルツ領域における自由キャリアを制御する必要がある。本年度はGaSe結晶を用い、半導体結晶中における自由キャリアのテラヘルツ領域における振る舞いに関する知見を得た。2THz以下の低周波領域において特に自由キャリアの影響が大きく、観察においてその影響を考慮する必要がある。
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