2004 Fiscal Year Annual Research Report
周波数可変マイクロ波プローブ顕微鏡による強誘電体ドメインダイナミックスの解明
Project/Area Number |
16760542
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
掛本 博文 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10334509)
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Keywords | 高周波誘電特性 / 非接触測定法 / 強誘電体・誘電体 / マイクロ波反射強度 / 電磁界解析 / 有限差分時間領域法 |
Research Abstract |
誘電体材料には、ドメイン構造等の不均一性を有するものがあり、それらの局所的な誘電物性の把握が必要である。最近、誘電体を用いたデバイスは、小型化され、使用周波数が高くなっている。小型化により、局所的に生じる問題を、試料全体の誘電特性で解明するのは難しいと思われ、電極がない状態での局所領域の高局波測定法の開発が必要である。そこで本研究では、誘電体の高周波での微視的な誘電特性を、電極なしに周波数可変で得るために、非接触プローブを用いてマイクロ波の反射強度(r)を測定し、誘電率(ε_r)への変換を行った。 測定装置は、発振器、方向性結合器、検出器、同軸変換器、プローブ(直径:1mmφ、及び6μmφ)により構成した。試料として、Cu-Plate、Al_2O_3(1000)(ALO)、SrTiO_3(100)(STO)単結晶基板およびBaTiO_3(BTO)焼結体(直径:7mmφ×0.5mm^3)を置いて測定を行った。測定は、プローブと試料の距離(d)を変化させて反射強度(r)を測定した。また、電磁界解析を有限差分時間領域(FDTD)法を用いて行った。 周波数(f)が8.6GHzおよび9.4GHzでの、試料の反射強度(r)特性は、8.6GHzおよび近傍のその他のfではdの増加により、rは減衰したが、f=9.4GHzの場合に限り、試料近傍のd=0.2mmで最小値を取った。この現象が生じる理由として、プローブがダイポールアンテナとして動作していることを考えた。すなわちf=9.4GHzの電磁波の4分の1波長(λ/4)がプローブの長さとプローブと試料の距離(rが最小値をとる位置:d=0.2mm)と一致したとき生じるものと考えた。このことを確かめるために、FDTD法による電磁界シミュレーションを実施した。電磁界解析で得られたインピーダンス(Z=98.7Ω)とΓ(=0.34)の関係:Γ=(Z-Z_o)/(Z+Z_o)は、Z_o=50Ωとした場合に成立した。 このことから、測定系は、試料とインビーダンス・マッチングを成していることが分かった。また、電磁界解析より、θは90°であった。またrの最小値でのΓをε_rへ変換を試みたところ、試料のε_rに近い値を示した。よって、反射強度の最小値の位置で、試料の誘電率測定が非接触で可能になることが分かった。
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Research Products
(6 results)