2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760543
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳 博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (30361794)
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Keywords | ワイドギャップP型半導体 / 磁性半導体 / 不純物相 / LaCuOSe |
Research Abstract |
ワイドギャップP型半導体LaCuOSeを母材に選択し、これにMn^<2+>の添加を試みた。バルク試料と薄膜試料を作製した。バルク試料は石英管中での固相反応により合成した。得られた試料の高出力(10kW)XRD測定の結果からは不純物相は認められなかった。エピタキシャル薄膜製膜には反応性固相エピタキシャル成長法を用いた。得られた両試料の電気伝導度の温度依存性は、Mnの添加により熱活性型から縮退型に温度依存性が変化した。また、ホール濃度は10^<20>cm^<-3>程度と見積もられた。以上の結果よりMnが母相に固溶したと考えられる。またこれらの試料はDietlらによって報告された室温強磁性希薄磁性半導体実現のための理論予測の条件、ワイドギャップP型半導体でキャリア濃度が10^<20>cm^<-3>程度以上であること全て満たしている。全ての条件を満たす物質における希薄磁性半導体の研究はこれまで皆無であった。よって、これらの試料の磁気測定を行った。 La_<0.99>Mn_<0.01>CuOSeバルク試料における磁気測定の結果、低温で強磁性転移が認められた。強磁性の起源を明らかにするために、詳細なXRD測定を行った。その結果LaMnO_3とMn_3O_4の不純物相がそれぞれ約0.2mol%、約0.1mol%認められた。得られた強磁性特性はこれら不純物相により定量的に説明できた。母相に固溶したと考えられるMn^<2+>の最大量は0.5mol%であった。これまでの新規磁性半導体の研究は主に薄膜試料で行われてきており、0.1mol%オーダーの不純物相の特定は困難であった。本研究ではバルク試料を用いることによりこれを可能とした。Dietlらの条件を全て満たしたにもかかわらず、母相由来の強磁性は観察することができなかった。エピタキシャル薄膜についても低温で強磁性は認められたが、バルク試料の結果から考察すると、不純物相由来であると強く推察された。
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