2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760543
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳 博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (30361794)
|
Keywords | 磁性半導体 / 両極性 / LnMnOP |
Research Abstract |
前年度の成果などから、磁性イオンをLaCuOS関連物質のLaOキャリア注入層にドーピングするのではなく、CuSホール伝導層に置く方が良いのではないかとの発想に至った。そこで、希薄磁性半導体実現のまず第一歩として、CuSホール伝導層を磁性層に置き換えることを考えた。また、キャリア注入層のLa^<3+>も磁性イオンである希土類イオンに置き換えることとした。この視点から物質探索をした結果、LaCuOSと同様の結晶構造を持ち、LaO層をLnO層(Ln=Nd, Sm, Gd)に、CuS層をMnP層に置き換えたLnMnOPなる物質群に着目し、合成と物性評価を行った。 合成したLnMnOPはいずれもノンドープでN型の電気伝導性を示す半導体であった。これにCaやCuをドーピングすることにより、P型化することに成功し、LnMnOPが両極性を示す半導体であることを明らかにした。CuをドーピングしたNdMnOPのホール測定の結果、キャリア濃度は10^<20>cm^<-3>であった。これらの試料に対し、磁化測定を行った結果、ノンドープの試料も、CaやCuをドーピングした試料についても2Kから400Kの測定温度範囲で強磁性転移は認められなかった。ドーピングによる磁性の変化も認められなかった。キュリー定数から見積もられた有効磁気モーメントは、Mn^<2+>の高スピン状態とLn^<3+>のそれから予想される値とは異なり、非常に小さい値であった。 NdMnOPにっいて行ったXASの結果から、Mnが高スピン状態であることが明らかになった。現在のところ、MnP層が測定温度(400K)以上で反強磁性転移をしており、測定温度範囲(2〜400K)では主にLnO層の常磁性成分が観測されているのではないかと考えている。今後、これらの物質の高温磁化測定を行い、これらの物質に対する理解を深め、室温で強磁性を示す半導体探索に生かしていくつもりである。
|