2004 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス酸化物半導体を用いた高移動度薄膜トランジスタの室温形成
Project/Area Number |
16760545
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神谷 利夫 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (80233956)
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Keywords | フレキシブルデバイス / 薄膜トランジスタ / アモルファス酸化物半導体 / 透明電子デバイス / 低温形成 |
Research Abstract |
本提案研究は、酸化物半導体に特有な「アモルファス構造中でも10cm^2/Vs以上の大きな電子移動度が得られる」という特長を活かして、従来のアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(TFT)の性能を凌駕するデバイスを実現することを目的として行っている。 この目的を達成するためにまず、TFTのチャネル層材料の探索を行った。ZnO-In_2O_3-Ga_2O_3 3元系、および、CdO-GeO_2 2元系において材料探索を行ったが、後者の場合、イオン注入以外でキャリア濃度を制御することが難しいことがわかり、前者に注力した。前者では、ZnOとIn_2O_3のエンドメンバー以外では安定なアモルファス薄膜を得られることがわかったが、たとえばZnO-In_2O_3 2元系では、低いキャリア濃度を制御することが困難であった。結局、適量のGa_2O_3を混ぜることで、10cm^2/Vsを超える高移動度と、良好なキャリア濃度制御性を併せ持つ薄膜を室温で形成できることがわかった。 この結果より、InGaZnO_4の組成を持つアモルファス薄膜を用いて、室温でTFTを作製した。これらのTFTは良好な特性を示し、on-off比が10^6程度、電界効果移動度が約10cm^2/Vsが得られた。これらのTFTはフレキシブルなプラスチック基板に作製することが可能で、曲げた状態でも動作することを確認した。これらの特性は、これまでフレキシブルTFTとして検討されてきたアモルファスシリコンや有機半導体を用いたTFTよりも一桁以上高い性能であった。
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