2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規熱電変換材料としての半導体クラスレート化合物の開発
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16760550
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
阿武 宏明 山口東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (60279106)
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Keywords | 熱電材料 / クラスレート / 元素置換 / 遷移金属元素 / 結晶構造 / 電子構造 / 電子物性 / 熱電特性 |
Research Abstract |
本研究では、クラスレート(包接)半導体のもつ特有の結晶構造と電子構造、ゲスト-ホスト間の相互作用、並びに熱電物性との関連を解明して、この物質群の熱電工学応用に関する基礎的研究を行う。以下に本年度の主な研究内容とその成果をまとめる。 1.Ba_8Ga_xGe_<46-x>クラスレートの創製プロセス アーク溶融法および放電プラズマ焼結法を併用したプロセス条件を検討し、Ga組成を広い範囲で制御した新規化合物を創製した。合成した化合物における有効質量、キャリア移動度、格子熱伝導度等の熱電物性のGa組成依存性を明らかにし、熱電性能向上のための物性パラメータ最適化に関する有益な知見を得た。また、溶融方法およびアニール処理について検討し、処理温度、時間等の条件の最適化によって熱電特性(移動度)が向上することを見出した。開発したプロセスは、元素置換、各種ゲスト充填による新規クラスレート半導体の創製にも有効である。 2.元素置換による新規Ba_8Ga_xGe_<46-x>系クラスレートの創製 ホスト格子を遷移金属元素(Cu,Ag,Au,Pd,Pt)で系統的に置換した新規化合物を創製した。結晶構造解析から、遷移金属原子は結晶構造(立方晶;空間群Pm3^^-n)の特定のホストサイト(6c)を優先的に占有することがわかった。Cuを除く元素置換において有効質量の増加に起因してゼーベック係数が増加する効果があること、特にPt置換において顕著であることを発見した。また、キャリア輸送特性の解析から、高価数の遷移金属元素による置換は、Ba(ゲスト)の電荷補償効果が高く半導体的性質を得るために有益であり、またキャリア(混晶)散乱が低下する効果もあることがわかった。このように、主にホスト格子がクラスレートの電子構造、つまりキャリア輸送特性を支配しており、その制御による熱電性能の向上に関しての重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(6 results)