2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物強誘電体におけるナノスケールでの分極制御と新規光物性
Project/Area Number |
16760551
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長田 実 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主任研究員 (10312258)
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Keywords | 酸化物強誘電体 / ナノドメイン構造 / ドメイン制御 / 近接場光学顕微鏡 / ラマン散乱 / 光機能 |
Research Abstract |
本研究では、「ナノスケールの微小ドメインの働き」が鍵となる材料として、近年不揮発性メモリー材料として注目を集めているBi層状構造強誘電体、PZT系強誘電体を取り上げ、ナノスケールでの分極ドメイン構造の観察と制御を可能とする新しい手法の開発と共に、ナノスケールの分極制御で実現する新しい光機能の可能性を検討した。本年度は、Bi層状構造強誘電体、特にBi_4Ti_3O_<12>を対象に、近接場分光システムよりナノ領域で現れる未知のドメイン構造の評価を行い、ナノスケールでの分極ドメイン構造の動的挙動について検討した。 Bi_4Ti_3O_<12>単結晶の実験では、近接場ラマン分光法を用いて分極特性と関係する格子振動モードをモニターすることにより、非破壊・非接触でナノ領域でのドメイン構造の評価が可能なことを明らかにした。さらに、異なる酸素量のBi_4Ti_3O_<12>単結晶に対して外場印加下でのドメイン構造のその場観察を行い、分極ドメイン制御機構について検討を行った。特徴的な変化は酸素欠陥を有するBi_4Ti_3O_<12>単結晶で観測され、内在する酸素欠陥がドメイン壁に蓄積されピン止めとして働いており、この系においては酸素欠陥が分極ドメインの制御機構の重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 上記の知見を元に、酸素欠陥を有するBi_4Ti_3O_<12>単結晶に対して、バンド内励起と対応する可視光照射下で電界印加を行ったところ、TiO_6ペロフスカイトブロック内で酸素空孔電子捕獲に伴う構造変化が生じ、これにより強誘電体への永続的光キャリア注入と強誘電特性(ドメイン構造)の光制御の可能となることを明らかにした。
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