2004 Fiscal Year Annual Research Report
天然材料のナノタフニング機構を応用した有機/無機ナノ積層複合材料の創製
Project/Area Number |
16760555
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
垣澤 英樹 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主任研究員 (30354137)
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Keywords | ナノ複合材料 / バイオミメティクス / 貝殻真珠層 / ナノ高靱化機構 |
Research Abstract |
千葉県産クロアワビおよびメガイアワビを用い、アワビの貝殻のマクロな力学特性を取得した。また、FE-SEM内での三点曲げ試験を行い、ミクロな破壊挙動のその場観察を行った。試験片は最大引張応力を受ける部分で厚さ約300nmの板状アラゴナイト結晶の破壊が生じ始め、負荷が増加するにしたがって破壊が累積するのが観察された。同時に、積層したアラゴナイト結晶の層間に剥離が生じた。最終的な材料の破断は結晶の破壊の連結することによって生じていた。層間に存在する厚さ約50nmの網目状の有機物がアラゴナイト層間の剥離やすべりに大きな影響を及ぼしていると考えられた。 アワビの貝殻真珠層と同程度のディメンジョンの複合材料を作製するプロセスを検討した。(1)スピンコートによる薄膜の積層(2)無機薄片状フレーク材料の固着、の2つを候補とした。(1)では、アルミナスラリーを回転ディスク上に滴下し、均一な膜を形成させた後乾燥させることを繰り返し積層セラミックスのグリーン体を作製した。ディスクの回転スピード、スラリーの粘性、表面張力を制御することにより、厚さを制御したグリーン体薄膜の積層構造を作ることが可能であることを見いだした。(2)では、厚さ約50nmの銀を無電解めっきでコーティングしたガラスフレーク(径80mm、厚さ700nm)を873-973Kでパルス通電焼結した。フレークのダイスへの充填方法を工夫しなければガラスフレークを二次元に配向させることは難しいことが明らかになった。得られた材料は、フレークが平行に配向していない部分を起点に破壊する傾向が認められた。これらの結果をふまえ、セラミックス相形成用の原料液と界面相形成用の原料液の二液を交互に繰り返し自動滴下できるスピンコーターの開発を行った。
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