2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然材料のナノタフニング機構を応用した有機/無機ナノ積層複合材料の創製
Project/Area Number |
16760555
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
垣澤 英樹 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主任研究員 (30354137)
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Keywords | ナノ複合材料 / バイオミメティクス / 貝殻真珠層 / ナノ高靭化機構 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、アワビの貝殻真珠層と同程度のディメンジョンの複合材料を作製するプロセスを検討した。厚さ約50nmの銀を無電解めっきでコーティングしたガラスフレーク(径40μm、厚さ700nm)をパルス通電焼結した。フレークを平行に配向させるため、ガラスフレークをポリビニルアルコール水溶液と混合したスラリーを作り、これをモリブデンシート状に刷毛を用いて重ね塗りを繰り返し、フレークを配向させたグリーン体を作製した。これをダイスに入れパルス通電焼結を行うことで、フレークが一方向に配向した積層構造を形成させることに成功した。また、焼結温度を様々に変化させ、銀コーティングが凝集せずにフレークの界面層として残留し、かつ、緻密な焼結が行える最適な温度を見出した。さらに、ホットプレス法でも同様の手法で焼結が可能であることも確認できた。 この材料にビッカース打ち込みを行い光学顕微鏡観察を行った結果、押し込み加重49-196Nまで圧痕のコーナーからの亀裂進展がまったく観察されず、高い破壊抵抗を持っている可能性が示唆された。圧痕近傍を走査型電子顕微鏡で詳細に観察した結果、圧痕の周囲約30μmの範囲で、界面でのクラックディフレクションによりサブミクロンオーダーの微細な破壊が累積的に生じていることが明らかになった。 前年度購入したスピンコーターを用いた材料プロセスについては、直径0.1μmのアルミナ粒子をポリビニルアルコール水溶液に分散させたスラリーと直径40nmのカーボン粒子分散水溶液を交互に滴下する手法でプロセス条件の最適化を行っている。スラリーの濡れ性と濃度の制御が均一な膜の連続的な形成に重要であると考えられる。
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