2004 Fiscal Year Annual Research Report
CFRP積層板の非線形弾性挙動を利用した構造ヘルスモニタリング技術の開発
Project/Area Number |
16760556
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
遠山 暢之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60344165)
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Keywords | 繊維強化プラスチック / 非破壊検査 / ラム波 / 損傷 / ひずみ計測 / 弾性率 |
Research Abstract |
1.ラム波伝播速度を用いたCFRP積層板の非線形挙動評価 本研究ではCFRP積層板の剛性を精密に測定することを目的として、CFRP引張り試験片に100mmの距離を介して一対の超音波センサを接着し、引張り試験の際のヤング率変化をラム波伝播速度を用いて評価した。まず一方向積層板のヤング率のひずみ依存性を測定し、最小二乗法を用いてヤング率をひずみの関数として実験的に導出した。特に0^0材においては炭素繊維の非線形弾性の影響を顕著に受け、ヤング率がひずみに対して二次関数的に著しく増加する現象を捉えることができた。さらにこれらの値を用いて直交積層板の非線形弾性挙動を積層理論を用いて予測した結果、実験値と極めて良好な一致を得た。また従来法の応力-ひずみ曲線を用いて導出したヤング率の値と比較すると、極めてばらつきが少なく、微小なヤング率変化も正確に測定できることを実証した。 2.CFRP積層板への音弾性法の適用 CFRP積層板は炭素繊維の非線形弾性の影響を顕著に受けるために、ラム波伝播速度のひずみに対する変化も他の構造材料に比較して極めて大きいことが分かった。このCFRP積層板特有の現象を利用して、ラム波を用いた簡便な測定方法による音弾性法を新たに提案した。まず、古典プレート理論と積層理論を用いることで、負荷ひずみとラム波伝播速度との関係を定式化した。その後、引張り試験の際に得られたラム波到達時間を用いて負荷ひずみを算出し、ひずみゲージによる測定結果と比較した結果、極めて良好な一致(誤差3%以内)が得られた。 以上本年度の研究により、ラム波伝播速度測定法は前年度までで実証してきた損傷定量検出のみでなく、損傷発生以前の負荷ひずみについても定量的に評価できる手法であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)