2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しい銅およびニッケル基バルクナノ二十面体ガラス複相合金の生成、構造と基礎的性質
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16760559
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
LOUZGUINE D.V 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60302212)
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Keywords | バルク金属ガラス / 正20面体相 / 準結晶 / ナノ化合物 / 相変態 / 機械的性質 / 結晶化 / 構造 |
Research Abstract |
ナノスケールの正20面体相の生成がCu_<55>Zr_<30>Ti_<10>(Pd or Au)_5ガラス合金を昇温での第一結晶化で観察された。Cu_<55>Zr_<30>Ti_<10>Pd_5バルクガラス合金はcP2のCuZr相から成る10nm以下のナノ粒子を含む。正20面体相はガラス遷移温度域の上下で拡散律速成長をすることが示された。過冷却液体域へのその場昇温の間に、事前に存在していたCu_<50>Zr_<30>Ti_<10>Pd_<10>バルクガラス中のcP2のCuZr相ナノ粒子の溶解が確認された。ナノスケールのCuZr相は熱力学的に不安定であり、熱的に原子拡散が励起されたとき過冷却液体域で溶解する。Cu_<60>Zr_<30>Ti_<10>バルクガラス合金および10%体積分率のZrC分散粒子を含むCu_<60>Zr_<30>Ti_<10>バルクガラス合金の熱処理によるナノスケール析出の影響が機械的性質に与える影響も調査した。ガラス遷移温度(Tg)の708Kで7.8ks熱処理を施すことにより、ガラス相母相中に10nm以下の微細粒子が析出し、その析出粒子の体積分率は温度の上昇とともに増加する。破壊強度およびヤング率は熱処理温度の上昇により、鋳造材の108GPaおよび1945MPaからCu_<60>Zr_<30>Ti_<10>合金の708K、7.8ks熱処理材の122GPaおよび2196MPaに増加する。10%体積分率のZrC分散粒子を含むCu_<60>Zr_<30>Ti_<10>ガラス合金の機械的性質もまた、破壊強度が鋳造複合材料の2217MPaから熱処理複合材料の2467Kのように熱処理により改善される。Ni_<55>Zr_<30>Ti_<10>NM_5(NMは貴金属)ガラス合金では正20面体相の生成は観察されなかった。Ni_<55>Zr_<30>Ti_<10>NM_5合金は狭いか冷却液体域を有しており、さらにNi_<60>Zr_<30>Ti_<10>合金は第一結晶化により析出物のサイズが約100nmのoC68のNi_<10>Zr_7相を生成する。 得られた結果は、ガラス合金の結晶化過程に関して過冷却液体の多大な影響を与えるとする仮定を支持するものである。過冷却液体から結晶化した合金は準安定相および結晶化に関して高い結晶学的対象性を有する相を生成する傾向を示す。このことは、ガラス相中よりも高い原子移動による過冷却液体域中の局所的原子構造の変化に関連付けられる。
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Research Products
(5 results)