2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機-無機ハイブリッドポリマーナノ微粒子による多色発光素子の開発
Project/Area Number |
16760564
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 直哉 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (40345145)
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Keywords | 自己組織化 / ミセル / 蛍光 / 励起エネルギー移動 |
Research Abstract |
本研究では、自己組織化ポリマーナノ粒子による多色発光素子を開発することを目的としている。本年度は、2種類のポルフィリンとポリマーからなるO/W型ミセルを作製し、ポリマーの種類と濃度を変えながら、ミセルに内包されたポルフィリンの発光挙動を検討した。用いたポルフィリンはテトラフェニルポルフィリンの亜鉛錯体(ZnTPP)とフリーベース体(FBTPP)であり、ミセル内での分布に応じたZnTPPからFBTPPへの励起エネルギー移動が観察された。光散乱による溶液の白濁などの影響を避けるため、ミセルの濃度は十分に低い状態で実験を行った。実験の結果、ポリマーの種類によりZnTPPとFBTPPの蛍光の発光比率および全体の発光強度が変化することがわかった。ポリスチレンおよびポリスチレン-ビニルカルバゾール共重合体などでは、FBTPPの発光比率がポリマーを添加しない場合に比べて3倍程度増加し、配位能のあるポリスチレン-ビニルピリジン共重合体を用いた場合には大きな変化がないことがわかった。蛍光励起スペクトルから、エネルギー移動の効率の変化が寄与していることを明らかにしている。また、PMMAを用いた場合にも、発光比率が増加するのに加え、添加しない系に比べて3倍程度の発光強度の増加が認められた。エネルギー移動によるFBTPP発光が増えているだけでなく、ZnTPPの発光強度も増えていることから、ミセル内のポルフィリン濃度が高いことによる濃度消光がポリマー添加により抑制されていることが示唆される。さらに、ポリスチレン-ビニルピリジンのランダムおよびブロック共重合体を用いた場合、発光比率に大きな変化はないがその強度は2倍程度変化することから、ミセル内でのポルフィリンの分布の違いによって発光挙動を制御できることを明らかにすることができた
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