2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体用超弾性チタン合金の結晶学・微視組織学的設計による高機能・高信頼性化
Project/Area Number |
16760566
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲邑 朋也 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (60361771)
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Keywords | 超弾性 / Niフリー / βチタン / 生体材料 / 時効 / 相安定性 / 集合組織 / マルテンサイト変態 |
Research Abstract |
1.Ti-Nb-Al合金において,格子定数とマルテンサイト変態温度のNb,Al濃度依存性を系統的に調査し,室温で大きな超弾性歪みを発現させるための合金設計指針を得た.Nb,Alはともに40K/mol程度の変態点低下をもたらすことが変態温度の精密測定によって明らかとなり,変態歪みは主にNb濃度に依存し,Nb濃度の低下とともに大きくなるという知見を得た.これらの結果から,本合金においてはNb量をなるべく低くし,Al添加量を増加させることによって,室温で大きな超弾性歪みが得られると分かった.現時点では21Nb-6Al合金において約5.2%の超弾性歪みの発現を確認しており,この種の合金において初めて5%以上の超弾性歪みを発現させることが出来た. 2.Ti-Nb-Al合金にSi,B,Cを微量添加して500℃〜700℃程度で時効処理を施すと,いずれの添加元素の場合においても室温での超弾性特性が向上した.Siを0.1〜0.7mol%添加した材料の微細組織を透過型電子顕微鏡で観察した結果,時効処理時に生じるω相前駆体の形成ならびにβ相の相分解がSi添加によって極めて顕著に抑制されることを見出した.Si添加によるβ相の時効に対する安定化は,Ti,NbとSi間の強い相互作用に起因するものと現時点では考えており,Si添加は他のβチタン合金においても時効に対する結晶構造の安定化に有効であると考えられる.この発見は,本合金系の相分解を抑制し,安定した超弾性特性を長期間にわたって維持するための大きな指針となる. 以上要するに,平成16年度においては超弾性歪みを最大化させるための組成制御指針を得て実際に5%以上の超弾性歪みの発現に成功したこと,並びに元来熱的に不安定なβ相の結晶構造を安定化させる働きをもつ添加元素を見出したことが主な成果である.
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Research Products
(17 results)