Research Abstract |
本研究では,ストイキオメトリック(stoichiometric)組成のNi-25at.%Alを作製し,その引張強度特性を調べた。作製は,水素圧2.5MPa,試料の移動速度330μms^<-1>で行った。ポロシティはアルミニウムの濃度の増加と共に低下する傾向が見られる。ニッケルにアルミニウムを添加すると,液相中の水素溶解度が低下することが知られている。したがって,合金元素であるアルミニウム濃度の増加と共に,溶融合金中の水素溶解度が減少し,凝固する際にポアを形成する水素量が減少したため,ポロシティが低下したと考えられる。ところが,ポア径の場合,Ni-25at.%Alの方がより小さくなった。これは,Ni-28at.%Al, Ni-31at.%AlよりNi-25at.%Alの組成では固液共存領域が狭くなり,成長するポアの癒着が少ないため,より細かく均一なポアが生じたと考えられる。引張試験のために,1200℃×10時間の真空熱処理で,脱水素及びannealingを同時に行った。ゲージ長さが12.5mmで断面が1.5×6.5mm^2の引張試験片をワイヤーカット放電加工機で切り出し,インストロン試験機を用いて室温で引張試験を行った。ひずみをextensometerて測定し,降伏強度と最大引張強度を求めた。クロスヘッド速度0.1mm/minである。引張方向がポアと平行な場合の降伏強度と最大引張強度は,ポロシティが100%のときに0MPaを表す点を通るそれぞれの直線上にのっている。これは,ロータス型ポーラス銅,鉄,ステンレス,マグネシウムの結果と一致する。引張方向がポアと平行な場合には試験片中に応力集中がほとんど起こらず,材料の強さは並列したマトリックスとポアから成る複合材料に対する複合則で表わされることを示している。ところが,伸びの場合,ノンポーラスNi_3AlよりポーラスNi_3Alの方が大きい結果が得られた。 また,合金化したNi-50.3at.%Ti丸棒(直径10mm)を2.5MPaまでの水素雰囲気中で連続帯溶融法により一方向凝固させてポーラス化を試みた。水素とヘリウムガス圧を変えたときの種々のポロシティを有するポーラスNiTiを作製した。水素分圧が高い場合,ポアが一方向に成長できず,横に広い範囲でポアが結合した後,そのままポアが閉じた。ところが,不活性ガスのヘリウム分圧が増加することによりポアに方向性が生じ,円柱状のポアを有するロータス化することができた。NiTiの場合,ある水素分圧以上では,溶融NiTiに溶解する水素量が,ポアの連続的な成長に必要な水素量より,極端に増大することによってロータス化できないと考えられる。溶融NiTiの水素溶解度は,従来作製したロータス型ポーラス金属より,10倍以上高いことが,NiとTiの溶解度曲線から推定される。引張試験は,1050℃×24時間の真空熱処理後の試料について行った。引張方向がポアと平行な場合のポーラスNiTiの応力ひずみ曲線は,ノンポーラスNiTiと似た挙動を示した。これは,ロータス型ポーラスNiTiでも,ノンポーラス材と同様の形状記憶効果および超弾性特性が期待される。
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