2006 Fiscal Year Annual Research Report
水素マイクロプリント法によるアルミニウム合金の環境脆化機構の解明
Project/Area Number |
16760569
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀川 敬太郎 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (50314836)
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Keywords | アルミニウム合金 / 環境脆化 / 水素 / 粒界 / 疲労試験 / 破壊 |
Research Abstract |
自動車用アルミニウム合金として利用されているAl-Mg系,Al-Mg-Si系合金について,引張変形,疲労変形を与えた場合の材料中の局所的な水素の集積挙動を水素マイクロプリント法により可視化する実験を行った。まず高純度原料地金を用いて溶解雰囲気を大気とアルゴンの2種類で変化させて,材料中の水素量をコントロールしたAl-5%Mg合金を作製した。引張変形による局所的な水素の集積については,引張変形量が20%を超えた場合に,すべり帯と粒界に優先的に集積することが明らかとなった。またこの粒界への水素の集積では,粒界性格によって顕著な集積が認められる場合と認められない場合とがあることが判った。粒界性格の違いによる粒界への水素の集積の違いの原因を明らかにすることを目的として,SEM/EBSP法を用いた検討を行った。その結果,引張軸に対して傾きを持ったねじれ粒界と傾角粒界で水素の集積が顕著となることが明らかになった。Al-Mg-Si合金については,Si量を変化させた5種類のAl-Mg-Si合金を作製し,低ひずみ速度引張試験機(SERT-MINI)を用いて,試験環境の水蒸気から取り込まれる水素の影響を調査した。その結果,室温での試験においては,ひずみ速度を10^<-7>s^<-1>と低速で行った場合,通常の10^<-4>s^<-1>程度の試験と比べて,伸びが大幅に低下することが明らかになった。次に環境から取り込まれる水素の影響を明確にする為に,試験環境の相対湿度を90%に保持しながら同様の検討を行ったところ,環境脆化の挙動が時効条件によって変化することが明らかになった。またAl-Mg-Si合金の疲労試験時の水素集積も調査し,疲労のき裂先端の粗大すべり帯に優先的な水素集積が認められることを初めて明らかにした。疲労試験と水素集積の関係明らかにした結果は学術誌「軽金属」に論文掲載された後,平成18年度軽金属学会論文賞,日刊工業新聞社賞を受賞するなど,研究内容が高く評価された。
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Research Products
(5 results)