2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己修復界面を有するインテリジェントFRPの開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
16760572
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
真田 和昭 富山県立大学, 工学部, 講師 (20363872)
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Keywords | 材料試験 / フラクトグラフィー / インテリジェント材料 / 繊維強化ポリマー / 微細カプセル / 引張特性 / 界面剥離 / 自己修復 |
Research Abstract |
本研究は、使用時の繊維強化ポリマー(FRP)の強度を著しく劣化させる要因である強化繊維とマトリックス間の界面剥離を材料自体が自己修復し、優れた強度を長期間維持するインテリジェントFRPを開発するための基礎的検討を行ったものである。得られた成果を要約すると以下の通りである。 1.微細カプセルから流出した修復剤は、強化繊維表面の自己修復界面中に分散させた硬化触媒と反応することで硬化する。ジシクロペンタジエン(修復剤)を内包した微細カプセルとGrubbs Catalyst(硬化触媒)を混合したエポキシ樹脂(自己修復エポキシ樹脂)の平板を作製し、引張試験を行って、引張強度に対する修復効果を検討した。初期の引張強度は微細カプセル含有量の増大に伴い単調に減少したが、初期の破断ひずみは微細カプセル含有量30wt%付近で最大値を示した。また、初期の引張強度と修復後の引張強度との比を修復率と定義すると、自己修復エポキシ樹脂の引張強度に対する修復率は最大14%となった。さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)による修復・破壊後の破面観察を行い、微細カプセルの破壊形態が粒径の大小によって異なることを明らかにした。 2.自己修復エポキシ樹脂を塗布・半硬化させて自己修復界面を形成した強化繊維を作製した。この強化繊維を用いて一方向FRP(自己修復FRP)を作製し、引張試験を行って、界面剥離に対する修復効果を検討した。繊維と垂直方向に負荷した場合、自己修復FRPは繊維・マトリックス間の界面剥離によって最終破壊した。また、自己修復FRPの繊維と垂直方向の引張強度に対する修復率は最大19%となり、自己修復エポキシ樹脂の場合に比べて高くなった。さらに、SEMによる修復・破壊後の破面観察を行い、強化繊維表面の微細カプセルが自己修復エポキシ樹脂の場合に比べて顕著に破壊していることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)