2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760573
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
兼子 佳久 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40283098)
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Keywords | 多層膜 / 電気めっき / ナノ構造材料 / 硬度 / 耐熱性 |
Research Abstract |
ニッケルと銅の交互の積層から構成されるNi/Cu多層膜をイオン化傾向の差を利用した電気めっき法により作製し,その硬度および耐熱性を測定し,さらに微視的構造をX線回折で調査した.Ni/Cu多層膜の作製には,アミド硫酸ニッケルと少量の硫酸銅を含んだ水溶液を用いて,電位を矩形波的に与えることによって焼鈍した銅多結晶表面に形成させた.ニッケル層と銅層との厚さの比率を1:1に固定し,個々の層の1層あたりの厚さと積層数を変化させた多層膜を作製し,それに対してビッカース硬さ試験をおこなった.硬度は層厚さが薄く,積層数が多いほど増加し,一層あたりの厚さが25nm,積層数60層の条件では硬度は最大となり約Hv400に達した.また,一定温度で多層膜を焼鈍した後に,硬度を測定した結果,焼鈍温度が300℃の条件で硬度が一旦極大値に達するが,それ以上の温度では急激に硬度が低下した.X線解析でも,300℃まではNiとCu相の存在が確認できたが,それより高い温度ではNi-Cu合金相が現れ,全率固溶型のNi-Cu系では拡散によって容易に多層膜構造が失われてしまうことが判明した.このようなNi/Cuナノ多層膜の欠点を克服するために,Co/Cuナノ多層膜の形成も試みた.Ni-Cu系とは異なり,Co-Cu系は高温でも2相に分離したままなので高い耐熱性が期待できる.硫酸コバルトと少量の硫酸銅を含む水溶液を用いることで,Co/Cu多層膜を作製することに成功した.Co/Cu多層膜もNi/Cu多層膜と同様に優れた硬度特性を有していることを確認した.
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