2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属微粒子内包ダイヤモンドライクカーボンの作製とその応用
Project/Area Number |
16760579
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小林 知洋 独立行政法人理化学研究所, ビームアプリケーションチーム, 研究員 (40282496)
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Keywords | ダイヤモンドライクカーボン / 金属ドープDLC / プラズマイオン注入製膜 / PBIID / 金属ナノ粒子 |
Research Abstract |
プラズマイオン注入製膜(PBIID)装置にマグネトロンスパッタリング蒸着源を新たに設置し、金属元素を含むダイヤモンドライクカーボン(DLC)の生成を行った。導入を試みた元素は、カーバイド生成が見込まれる金属(W)および微粒子生成が見込まれる金属(Cn)である。PBIID側では製膜ガス種、ガス圧、RFパワー、パルス電圧をパラメータとして、触針式段差計を用いてDLC生成速度の検証を行った。その結果ガス種については炭素数が多いものほど膜生成速度が速く、本研究ではトルエン(C_7H_8)を用いることとした。また、ガス圧、パルス電圧については高いほど膜生成速度が増加したが、基板-ホルダー界面における異常放電が増加することから1x10^<-2>torr、5kVを標準とした。蒸着源側では印加電圧をパラメータとしてスパッタ速度を検証した。現時点で生成した膜はDLCと金属とを逐次的に製膜したサンドイッチ構造であり、同時蒸着時のパラメータ最適化は現在進行中である。作製した試料についてはラザフォード後方散乱分析(RBS)により組成分析を行い、いずれも目的の元素が堆積していることを確認した。また、集束イオンビーム加工装置(FIB)を用いて断面観察用試料を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により構造観察を行った。その結果、DLC層と金属層との界面が明確に存在せず、逐次製膜であっても金属ドープDLCが作製可能であることが判明した。これはDLC製膜時に高圧パルスを印加するため、炭素が金属層側に注入されるミキシング効果が原因である。
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