2004 Fiscal Year Annual Research Report
高耐酸化性クロム拡散層を有する新規高耐食性ナイトライド被覆Mo系複合材料の開発
Project/Area Number |
16760584
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
長江 正寛 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60304341)
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Keywords | モリブデン / クロム / 拡散処理 / 耐酸化性 / モリブデン窒化物 |
Research Abstract |
近年,超臨界状態や熱強酸・強アルカリ中などの極限環境下での反応が環境問題解決や新物質合成への新しい技術として非常に注目されている.しかしながら,それらの反応容器として長期間使用可能な材料が見い出されておらず,材料学的観点からの研究開発が強く望まれている.本研究では,Crを拡散浸透させたMo材料を窒化処理することによって,沸騰硫酸に対する高耐食性と大気中での耐酸化性を併せ持つ従来にない全く新しいMo-Cr系複合材料の開発を目指す.本年度得られた主な結果を以下に示す. 幅2.5mm,厚さ1mm,長さ20mmの短冊状純Mo試料の脇にCr粉末を設置した状態で高真空中1500℃-4hの条件でCr拡散処理を行った結果,試料表面から約20mmの深さまでCrが拡散浸透しており,拡散層は体心立方構造のMo-Cr固溶体であることが分かった.拡散層内の定量分析を行った結果,原子数比でMo : Cr=57:43であった.得られた試料の耐酸化性を検討したところ,純Moが著しく酸化され重量減少が大きい800℃においてもほとんど重量変化せず,表面をCrで合金化したMo試料(Mo-Cr材)は大気中での耐酸化性が著しく向上していることが明らかとなった.Mo-Cr材をアンモニアガス中で窒化処理するとγ-Mo_2N層が生成した.X線回折の結果より,表面に生成した窒化物中にはCrが固溶していることが示唆された.
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