2004 Fiscal Year Annual Research Report
貯蔵用タンク底板の腐食損傷に対するラム波対称モードを用いた新しい評価法の構築
Project/Area Number |
16760586
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
長 秀雄 青山学院大学, 理工学部, 助手 (60296382)
|
Keywords | 対称モードラム波 / タンク底板腐食の健全性診断 / 超音波非破壊評価 |
Research Abstract |
タンク底板を模擬した鋼板に腐食を模擬した欠陥を導入し、ラム波対称モード(Soモード)を用いた測定を行った。比較のために一般的に用いられるラム波Aoモードでの測定を合わせて行った。その結果、SoモードはAoモードに比較して欠陥からの反射波を明瞭に捕らえることができ、その反射強度と欠陥深さには比例関係があることが実験的にも確認ができた。また、分散性の小さい低周波のSoモードを用いれば2m以上の距離においても検査でき、欠陥反射波の伝搬時間から欠陥位置を5〜10%程度の誤差で標定できることがわかった。しかし、タンク底板は溶接部分が多く、特に重ね合わせ溶接されている部分では、超音波の透過率が低いため重ね合わせ溶接以降の欠陥の評価のためにはチャープ信号を用いたパルス圧縮技術などの信号処理技術を組み合わせる必要があり、今後現場で使用できるチャープ信号発振装置を開発する予定である。さらに、今年度はいままでに開発したシステムを用いて実際の1000kL級の石油貯蔵タンクの2基においてタンクオーナー会社の協力を得てアニュラー板(底板最外周部分)の健全性評価に本手法の適用を試みた。その結果実際のタンクでは端面処理が必要なこと、計測のために長いケーブルが必要であり、S/N比が低下すること、タンクごとにアニュラー板部分の構造が異なることなど実際の現場で本手法の問題点が明らかになった。しかし、実際のタンクのアニュラ板においてもSoモードラム波の励起・検出が可能であったことから、2006年度は実験室および現場において明らかになった問題を信号処理、センサ形状など改良することで解決することを目的とする。さらに2006年度もいくつかのタンクオーナーの協力も得られることから、現場において測定し、使える技術となるように改良する予定である。
|