2004 Fiscal Year Annual Research Report
部位選択的表面改質を利用したポリイミド系樹脂上への銅回路形成技術の開発
Project/Area Number |
16760588
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
赤松 謙祐 甲南大学, 理工学部, 講師 (60322202)
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Keywords | 銅回路パターン / ポリイミド樹脂 / エレクトロニクス実装 / 部位選択的表面改質 / 密着強度 |
Research Abstract |
本年度は、パターン解像度の最適化を目的として、湿度を制御したグローブボックス内にてショットマスター印刷を行い、光学顕微鏡を用いて微小半球径およびライン幅の時間変化から拡散速度を算出し、KOH濃度、温度および湿度に対する依存性について詳細に検討した。その結果、ドット径およびライン幅は、反応時間および相対湿度の増大とともに、増大する傾向が見られた。100〜200マイクロメートル程度の回路描画においては、反応時間5分、相対湿度33%程度が最適であることが分かった。 回路パターンを描画したフィルムを硫酸銅水溶液に浸漬することにより、改質部位にのみ選択的に銅イオンが吸着することが明らかとなった。この試料をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬すると表面に銅薄膜が析出した。顕微鏡像観察の結果、改質部位にのみ選択的に銅薄膜が析出しし、樹脂表面に銅ナノ粒子で構成された薄膜(グラニュラー薄膜)が形成し、ナノ粒子は樹脂表面に露出していることが明らかとなった。さらに無電解めっきによる増膜を行った試料において、銅薄膜/樹脂界面に銅ナノ粒子が増膜前とほぼ同じ状態で存在していることがわかった。テープ剥離試験の結果、銅薄膜と樹脂は良好な密着性を示した。界面に存在する銅ナノ粒子/ポリイミド樹脂複合体が存在することによるナノスケールインターロッキングに起因すると考えられる。 以上の結果より、微少液滴吐出法を利用して樹脂表面を選択的に改質し、改質部位をメタライズテンプレートとして利用可能であることが明らかとなった。本手法は他の金属への応用が可能であり、全湿式プロセスによる樹脂上への銅配線形成技術として今後の展開が期待される。 以上の成果は国内外において発表を行い、J.Am.Chem.Soc.誌に論文発表し、成果の一部は著書としてまとめた。
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