2005 Fiscal Year Annual Research Report
希ガスイオン照射によるナノブリスター形成と触媒表面特性
Project/Area Number |
16760591
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山本 春也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70354941)
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Keywords | ブリスター / 二酸化チタン / イオンビーム / 薄膜 / 光触媒 |
Research Abstract |
光触媒材料である二酸化チタン(TiO_2)について、希ガスイオン照射より表面近傍に形成されるブリスター(膨れ)の表面形態と触媒反応への影響を明らかにすることを目的に研究を進めた。昨年度に引き続き、パルスレーザー蒸着法により作製したルチル型のTiO_2(100)単結晶膜に1〜4keVに加速したヘリウムイオンを照射してブリスター形成を行った。走査型電子顕微鏡(SEM)等により表面形態観察を行い、入射エネルギー、照射量、照射中の試料温度を変えてブリスター形成条件を調べた。室温でTiO_2単結晶膜にヘリウム照射した場合、入射エネルギー:2keV以上、照射量:5×10^<16>個/cm^2以上で、直径:200nm程度、高さ:20nm程度のブリスターが形成した。また、(100)、(110),(001)面方位のTiO_2単結晶を用いて同様の実験を行ったが、形成されるブリスターに結晶面方位の依存性は見られなかった。さらに95Kに冷却したTiO_2(100)単結晶膜に入射エネルギー:4keV、照射量:約1x10^<17>個/cm^2照射した場合には、直径:50nm程度、高さ:4nm程度のブリスターの形成が確認できた。これよりブリスターのサイズは照射中の温度に依存することわかった。また、形成されたブリスターの熱的安定性について調べた結果、大気中で600℃の加熱温度までブリスター構造を保持することがわかった。さらに表面近傍に形成されるブリスターの光触媒特性への影響を調べるために、光触媒特性に密接に関係している光誘起親水性を調べた。ブリスター形成後、400℃以上の熱処理を行った試料で、光誘起親水性を示すようになり、ヘリウム照射量が多いほど、つまりブリスター数が多いほど、光誘起親水性が向上することがわかった。以上の結果から、ブリスター構造が光触媒特性の向上に有効でることが示唆された。
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Research Products
(3 results)