2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 正男 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (60361648)
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Keywords | 白金-亜鉛化合物 / チャネルフロー二重電極法 / 溶解速度 / アノード溶解 |
Research Abstract |
近年、資源リサイクルの観点から、多種多様なスクラップからの貴金属元素の分離・回収が注目を集めている。スクラップからの各金属の分離・回収を湿式法で処理する場合、最初の工程は金属成分を水溶液中へイオンとして溶出させる浸出工程である。金や白金などの貴金属は化学的に安定で水溶液中に容易に溶解しないが、亜鉛などの卑な金属の蒸気と接触させ化合物を形成させると比較的容易に溶解することができる。しかし、合金化による溶解性向上のメカニズムの詳細は未だ明らかでない。本研究では、白金-亜鉛化合物の溶解特性を、チャネルフロー二重電極法により測定した。 白金-亜鉛化合物の作成は次のように行った。石英管内の一方の端に白金板を、多端に亜鉛粉末を配置し、管内を拡散ポンプで真空排気した上で封入した。これを、電気抵抗炉を用いて加熱し、亜鉛蒸気と白金板を反応させ、白金-亜鉛化合物を得た。亜鉛が配置された部分と白金板の部分の加熱温度を変えることで、様々な組成をもつ単相の白金亜鉛化合物を得た。 このようにして得た白金亜鉛化合物を作用電極とし、チャネルフロー二重電極法により、塩酸中での電流-電位曲線の測定を行った。作用電極電位を掃引する一方で、検出電極電位を、亜鉛イオンは還元されず、白金イオンのみを還元する電位に保つことで、白金-亜鉛化合物から溶出する白金イオン量を定量できた。本測定により、白金-亜鉛化合物から溶出する白金イオンおよび亜鉛イオンの量と溶解電位との関係、溶解量の経時変化、合金組成と溶解量との関係が初めて明らかとなった。また、白金の溶解速度が合金化によって大幅に向上することを電気化学的に明らかにすることができた。
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