2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識機能を持つ感温性ゲルを用いた重金属の新規な吸着材の開発
Project/Area Number |
16760607
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
徳山 英昭 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10363029)
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Keywords | 感温性ゲル / 吸着 / 分子認識 / 温度スイング / N-イソプロピルアクリルアミド |
Research Abstract |
本研究は、標的金属を温度スイングで選択的に吸・脱着する新規な吸着材である分子インプリント感温性ゲルの高機能化のための設計指針を得るために、様々な配位子を用いた吸着材を合成し、重金属-配位子の相互作用形態やゲルネットワークの膨潤特性が、選択分離や吸・脱着特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とするものである。温度変化に応答して可逆的に膨潤・収縮する感温性N-イソプロピルアクリルアミドゲルに、分子インプリント法で鋳型金属の銅とキレート結合した4-ビニルベンジルエチレンジアミン(VBEDA)を共重合し分子認識サイトを形成した吸着材を合成した。この吸着材は、狙い通り温度スイングによる吸・脱着および選択吸着の機能を発現したが、吸着分子を完全に脱着できない問題点があった。脱着量が小さい原因を明らかにするために、この種の吸着材の温度スイングによる吸・脱着の平衡の測定・解析を行い、吸着等温線はラングミュア型で記述できることを見出した。これを基にした吸・脱着メカニズムの考察から、ネットワークの不均一性が吸・脱着制御にとってマイナスとなることを指摘した。この改善策として、配位子モノマーの改良に着目し、新規なジ-4-ビニルベンジルエチレンジアミン(DVBEDA)を開発した。DVBEDAは、ビニル基を二つ持ちネットワークに架橋結合されるため、従来のVBEDAと比べて立体配座の自由度が減少し、分子認識サイトの形成・破壊のより厳密な制御が期待できる。この新規なDVBEDAを用いたゲル吸着材の鋳型に用いた銅の吸着特性について検討し、VBEDAとの性能比較を行ったところ、温度スイングによる脱着や選択性の性能が格段に向上した。平成17年度は、重金属の高度選択吸着が期待できるリン酸またはリン酸エステルを配位子に用いた分子インプリント感温性ゲルを新たに作製し、その吸着特性について検証する。
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Research Products
(3 results)