2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760610
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
中村 成夫 共立薬科大学, 薬学部, 助教授 (00264078)
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Keywords | 光異性化 / アゾピリジン / 金属イオン / 抽出剤 |
Research Abstract |
金属資源の有効利用に関して、各種金属の分離・回収は、金属産出量の乏しい我が国にとって重要な課題である。本研究の目的は、光機能性の抽出剤を合成し、金属イオン抽出を光照射により制御しようとするものである。アゾベンゼン誘導体は典型的な光異性化化合物であり、シス/トランス異性化にともなう構造変化により抽出能が大きく変わることが予想される。抽出反応を光スイッチにより制御することができれば、新しい抽出プロセスとなりうるとともに基礎研究の面からも非常に興味深い。 光異性化能をもつ典型的な化合物であるアゾベンゼンの類縁体である、1,1'-アゾピリジン、2,2'-アゾピリジン、3,3'-アゾピリジンも前年度に合成したが、今年度は新たにアゾベンゼン-2,2'-ジカルボン酸を合成した。前年度と同様に、紫外透過・可視吸収フィルターを用いて紫外光を照射したところ、シス体リッチな状態にすることができた。 今年度は、アゾピリジン、アゾベンゼン類と各種金属イオンとの錯形成について検討した。任意濃度の配位子水溶液を測定セルに3mlとり、25mMの各種金属溶液を10μlずつ滴下していき、紫外・可視吸光光度計を用いてスペクトル変化を観察した。2,2'-アゾピリジンはCu^<2+>,Ni^<2+>,Co^<2+>,Fe^<2+>,Pd^<2+>,Ir^<4+>,Ag^+等との錯生成が確認できた。このうち、Cu^<2+>,Ni^<2+>,Co^<2+>,Fe^<2+>,Ir^<4+>はスムーズなスペクトル変化を示し、等吸収点も確認できることから、水溶液中の錯体の化学種は1種類しか存在しない単純な錯生成だということがわかった。アゾベンゼン-2,2'-ジカルボン酸はCu^<2+>,Fe^<2+>,Au^<3+>,Pt^<4+>,Ir^<4+>,Ag^+との錯生成が確認できた。しかし、Cu^<2+>以外の金属は複雑なスペクトル変化を示した。
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