2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760610
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
中村 成夫 共立薬科大学, 薬学部, 助教授 (00264078)
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Keywords | 光異性化 / アゾベンゼン / 抽出剤 / 金属イオン / フラーレン |
Research Abstract |
本研究の目的は、光機能性の抽出剤を合成し、金属イオン抽出を光照射により制御しようとするものである。アゾベンゼン誘導体は典型的な光異性化化合物であり、シス/トランス異性化にともなう構造変化により抽出能が大きく変わることが予想される。抽出反応を光スイッチにより制御することができれば、新しい抽出プロセスとなりうるとともに基礎研究の面からも非常に興味深い。 今年度は新たなデザインに基づき、脂溶性部位としてフラーレンを分子内に含む光機能性抽出剤の合成を試みた。フラーレンはきわめて脂溶性の高い置換基であり、これを用いることにより抽出効率の向上が期待される。 まず1,2-Bis(bromomethy1)-3-nitrobenzeneとC_<60>から1',4'-dihydro-5'-nitronaphtho-[2',3':1,2][60]fullereneを合成した。次にニトロ基を還元した後にカップリングしてアゾベンゼン誘導体にすることを計画したが、金属スズや接触還元など様々な方法を試みてもどれも還元が進行しなかった。また、ニトロ基が6'位にある誘導体も合成したが、これも還元してアミノ基にすることができなかった。 次にC_<60>にsarcosineとp-nitrobenzaldehydeを反応させN-methyl-2-(4-nitrophenyl)fulleropyrr olidineを合成し、さらにこれを還元してアミノ体を得た。これをNaClO酸化によりジアゾカップリング反応を試みたが原料回収に終わった。これはフラーレンの脂溶性が高すぎたため、有機相で酸化反応が進行しなかったためと考えられる。このジアゾカップリングがうまくいけば、これまでにない新しいタイプの抽出剤が得られることが示唆された。
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