2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル強磁性体薄膜のMOCVDのその場分光診断に基づくプロセス制御
Project/Area Number |
16760617
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 敏浩 京都大学, 工学研究科, 講師 (90293886)
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Keywords | マンガン酸化物 / 抵抗変化 / PCMO / ReRAM / MOCVD / その場診断 / 赤外分光 / 強磁性体 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型Mn酸化物は、巨大な磁気抵抗効果を示すことから、電子スピンの自由度を利用した次世代の新しい磁気エレクトロニクス材料として関心を集めている。(La,Sr)MnO_3に代表されるハーフメタル材料は、トンネル磁気抵抗(TMR)素子の強磁性体電極層に用いた場合に、そのTMR比が理論上無限大にまで大きくなることからMRAM等のスピンエレクトロニクスデバイスへの応用が期待されている。また(Pr,Ca)MnO_3に代表される多元系酸化物材料にパルス電圧を印加すると、そのパルス電圧の極性に依存して巨大かつ安定な抵抗変化が生じることが見出され、この効果の抵抗変化型不揮発性メモリーReRAM(Resistance Random Access Memory)への応用が注目されている。本年度は、(La,Sr)MnO_3に加えて、新たに有望な新規材料である(Pr,Ca)MnO_3薄膜についての検討を、ReRAM応用の観点から開始した。まず、in situ赤外吸収分光法により気相中のCVD原料分子由来の振動スペクトルの基板温度依存性の測定に着手し、熱解離反応の観察、配位子由来のフラグメント分子の検出、CVD原料分子の気相中での酸化反応の診断を行った。得られた気相反応に関する基礎データと堆積膜の元素組成との間の相関関係をまず解析し、ストイキオメトリックな元素組成を得るためのプロセス条件を探るとともに、各原料の成膜に至るまでの反応過程を調べた。その結果、in situ赤外分光によるプロセスモニタリング技術を利用して溶液気化MOCVDにより所望の元素組成を有する(Pr,Ca)MnO_3薄膜を作製することに成功した。さらに、電気パルス誘起抵抗変化の評価を行い、得られた薄膜試料の抵抗値が印加した電圧パルスの極性に応じて大きく変化することを確認した。
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