2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル強磁性体薄膜のMOCVDのその場分光診断に基づくプロセス制御
Project/Area Number |
16760617
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 敏浩 京都大学, 工学研究科, 講師 (90293886)
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Keywords | マンガン酸化物 / 抵抗変化 / PCMO / ReRAM / MOCVD / その場診断 / 赤外分光 / 強磁性体 |
Research Abstract |
ベロブスカイト型マンガン酸化物は、巨大な磁気抵抗効果を示すことから、電子スピンの自由度を利用した次世代の新しい磁気エレクトロニクス材料として関心を集めている。一方、(Pr, Ca)MnO3 (PCMO)に代表される多元系酸化物材料にパルス電圧を印加すると、そのパルス電圧の極性に依存して巨大かつ安定な抵抗変化が生じることが見出され、この効果の抵抗変化型不揮発性メモリーReRAM (Resistance Random Access Memory)への応用が注目されている。本年度は、PCMO薄膜のMOCVDの開発を、ReRAM応用の観点から進めた。PCMOの電気特性はCa添加によるキャリアドープ量に著しく依存しているため、プロセスの実用化のためには高精度な元素組成制御による再現性の確保が必要不可欠である。そこで、PCMOのMOCVDプロセスにおいてin situ赤外吸収分光法による気相反応解析をさらに進め、所望のPr/Ca組成比を有するPCMO薄膜を作製した。パルスレーザー堆積法やスパッタ法によるペロブスカイト型マンガン酸化物の成膜温度は800℃以上と高いのが一般的であるが、本研究ではMOCVD法を用いることにより基板温度480℃の成膜条件でPCMOの良質な多結晶膜の作製に成功した。さらに、PCMO薄膜を用いて二端子メモリーデバイスを試作して、電気パルス印加による高抵抗状態と低抵抗状態との間の抵抗スイッチングを確認し、抵抗変化率90%という値を得た。また、小さな書き込み電圧(スイッチング電圧)により十分なメモリー動作が得られるデバイスの試作に成功し、これにより、昇圧しないまま使用可能である不揮発性メモリー開発への手がかりを得た。
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