2004 Fiscal Year Annual Research Report
ファインケミカルズ合成を指向した実用的不均一触媒反応系の開発
Project/Area Number |
16760620
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 和也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50334313)
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Keywords | 固体触媒 / 酸化反応 / 分子状酸素 / 水 / 過酸化水素 / タングステン / ルテニウム / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
本申請研究では、厳密な調製条件(調製時のpH、金属イオン濃度など)のコントロールによる高度に表面設計した担持金属触媒の調製(目的とする反応に合わせた触媒設計)、調製した担持金属触媒を用いたファインケミカルズ合成(主として酸化反応系の開発)を指向した実用的な触媒反応系の開発、を行ったところ下記の2種類の不均一系触媒反応系の開発に成功した。 (i)厳密な金属イオン濃度、pHコントロールによりアルミナのような無機酸化物担体上に高分散に水酸化ルテニウム種を担持することに成功した。実際、これが分子状酸素を酸化剤とするアルコール、アミン、芳香族炭化水素類の酸化反応に対して他に類を見ない高活性、高選択的な優れた不均一系触媒となることを見出した。また、本触媒は水中でもルテニウム種の溶出などが見られず非常に安定である。すなわち、究極の環境調和型の溶媒である水中で、種々の有機官能基変換反応を行うことができた。例えば、本触媒は水中でのニトリル化合物のアミドへの水和反応、ナフトール、フェノール類のカップリング反応に対しても非常に高い活性を示すことを明らかにした。 (ii)申請者は、イミダゾリウムカチオンをもつイオン性液体で表面修飾したSiO_2を調製し、ペルオキソタングステート[{W(=O)(O_2)_2(H_2O)}_2(μ-O)]^<2->を静電的な相互作用により強固に固定化することに成功した。この触媒を用いると、過酸化水素を酸化剤とする種々のオレフィン類のエポキシ化反応が効率よく進行する。本触媒では、反応中の活性成分の溶出もなく、触媒活性も相当する均一系触媒と比べてほぼ同程度であることから、均一系の触媒活性を保持したまま固体上に担持できたといえる。したがって、上記の例のように触媒担体を工夫することで、申請者が独自に開発してきた種々のポリオキソメタレート化合物をその活性を保持したまま固定化でき、優れた不均一触媒反応系を構築できた。
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Research Products
(6 results)